2021年9月29日水曜日

リトアニア国防省が警告「中国製スマホ、使ってはいけない」

 中國に対して、日本の国防や政治に携わる連中にはとても言えないかも?

国力がとても敵わないのではと思える国が、毅然とした態度で言いも言ったりと「父つぁん」が日本と比較しても日本では無理かもしれない?


ヨーロッパのバルト三国の一角であるリトアニアで、リトアニア国防省傘下の国家サイバーセキュリティセンター(NCSC)が中国製スマホを使わないよう忠告したことで世界中が騒然となったのである。


リトアニアは20206月、中國が強引に法制化した香港国家安全維持法に公式に批判する立場を表明。また今年年5月にはリトアニアの国会が、アメリカやイギリス、カナダやオランダに次いで、新疆ウイグル自治区でジェノサイド(大量虐殺)が行われていると認定している。

もちろん中國はこれらに強く反発。


このリトアニアは中國が嫌がる事にも次々手を打っている様で「父つぁん」の日本が出来ない事が歯痒い事頻(しき)り!




  2021.9.28(火)

リトアニア国防省が警告「中国製スマホ、使ってはいけない」

「スマホアプリに特定単語を検閲する機能」との報告書公表

https://jbpress.ismedia.jp/articles/-/67092


山田 敏弘 フォロー 中国ヨーロッパ時事・社会安全保障




 

上海にあるシャオミのオフィスビル(写真:Featurechina/アフロ)


(山田敏弘・国際ジャーナリスト)


「中国製スマホの廃棄を勧める」


 先日、こんな衝撃的な発言が欧州発で広く報じられた。ヨーロッパのバルト三国の一角であるリトアニアで、リトアニア国防省傘下の国家サイバーセキュリティセンター(NCSC)が中国製スマホを使わないよう忠告したことで世界中が騒然となったのである。


中国を批判し続けてきたリトアニア


 リトアニアは以前より中国の5G関連製品を警戒してきた。今年5月には、安全保障に絡むコミュニケーションを守るための法改正を行ない、中国製の5G通信機器の排除を可決している。また中国の国家情報法など情報関連の法律を念頭に、リトアニアの情報機関は中国企業の危険性を指摘していた。


 そもそもリトアニアと中国との関係は、2020年から悪化していた。リトアニアは20206月、中国が強引に法制化した香港国家安全維持法に公式に批判する立場を表明。また今年年5月にはリトアニアの国会が、アメリカやイギリス、カナダやオランダに次いで、新疆ウイグル自治区でジェノサイド(大量虐殺)が行われていると認定している。もちろん中国はこれらに強く反発した。


 だがリトアニアの態度は変わらなかった。今年7月には、リトアニアが首都ビリニュスに、欧州初となる「台湾」という名前を冠した「台湾代表処」(大使館に相当)を開設すると発表。猛反発した中国側が駐リトアニア大使を召喚する事態に発展した。


 このように対中関係が悪化している中、リトアニアのNCSC8月、中国製品の安全性を調査した調査結果を公開したのだ。


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■ 「中国製スマホを購入しないこと、すでに購入したならできるだけ早い廃棄を勧める」


 その文書(https://www.nksc.lt/doc/en/analysis/2021-08-23_5G-CN-analysis_env3.pdf)のタイトルは「リトアニア国内で販売されている5Gモバイルデバイスに関するサイバーセキュリティの評価――ファーウェイ、シャオミ、ワンプラスによって製造された商品の分析」。最初から中国のスマホメーカーに疑いの目を向けていたことがうかがえる。


 今回の調査で対象となったのは、中国の華為技術(ファーウェイ)の「Huawei P40 5G」と、小米科技(シャオミ)の「Xiaomi Mi 10T 5G」、中国のOPPO社の傘下のスマホメーカー「OnePlus」の「OnePlus 8T 5G」という、いずれもハイエンドな5Gスマホだ。


 この調査報告書を公表する際に、マルギリス・アブケビシウス国防副大臣は記者団にこう語った。


 「私たちは、中国製の携帯電話を新たに購入しないこと、またすでに購入した携帯電話はできるだけ早く廃棄することを勧めます」


 いったいどのような調査結果が出たのだろうか。


 NCSCは、これらのスマホに関して、製造時にインストールされるアプリのセキュリティ、個人情報の流出リスク、表現の自由の制限などの点で、何らかの問題がないかを調べた。


 報告書ではまず、ファーウェイやシャオミなどのスマホは、グーグルのOSであるアンドロイドを使っているが、それぞれのメーカーがデータ収集など独自の設定を設定しているため、アンドロイドのセキュリティを安全に保つセキュリティアップデートが遅れてユーザーに配布されることになり、アンドロイド側が推奨するアップデートを迅速に行えないリスクがあると分析している。


 そして調査では、対象となったファーウェイのスマホには2017年から2021年までに144件の脆弱性が発見されており、シャオミでは情報漏洩につながるかもしれない脆弱性が9件あり、OPPOでは外部アプリをサイバー攻撃者が悪用できる脆弱性が1件発見されていると指摘している。


 アップデートが遅れるということは、こうした問題をすぐに解消できない可能性があるということだ。


 ではスマホメーカーがそれぞれ行なっている独自の設定とはどういうものだろうか。調査ではそこにリスク要因があると見ている。


 ■ アクセス履歴などが勝手にスマホから国外のサーバーに


 まずはファーウェイ。ファーウェイの純正アプリストアが、ユーザーを安全性の低い外部からアプリをダウンロードさせるリスクがあるとしている。知らぬうちに悪意あるマルウェア(不正プログラム)やウイルスが感染しているものもダウンロードしてしまう可能性を警告している。


 さらに、外部アプリストアなどは欧州のGDPR(一般データ保護規則=EU域内でのユーザーのデータ保護やセキュリティ対策のための規制)が及ばない地域であり、GDPRによって保たれている欧州の安全基準を満たしていないことを留意すべきだという。


 またシャオミの場合は、プリインストールされたアプリが、ユーザーの動きを統計データとして、クラウドを提供する中国IT企業テンセント社のサーバーに送られることが判明した。またプリインストールされたインターネット用ブラウザ「Miブラウザ」が、ユーザーのアクセス履歴や検索データなど61に及ぶ統計情報をシャオミ側のアクセスできる分析サーバーに送られていると指摘している。


 つまり、ユーザーの認識のないままに個人データが、他国のサーバーに送られ、安全に脅威となる可能性があるという。


■ 「要警戒ワード」を“検閲”するスマホ


 だが最も衝撃的だったのは次の点だろう。


 シャオミの「Mi 10T 5G」が、コンテンツのアクセス制限をしていることが判明した点だ。シャオミのスマホの「Miブラウザ」が、449個にのぼる特定の単語を検知すると、勝手にアクセスを制限する機能があることがわかったのだ。


 この449個の単語とは、中国国内でも中国共産党がアクセス制限をしている“要警戒ワード”だ。


 「Free Tibet(チベットに自由を)」「Voice of America(ヴォイス・オブ・アメリカ=米政府のメディアの名前)」「Democratic Movement(民主的な運動)」「Longing Taiwan Independence(台湾独立への切望)」などである。


 以下に「禁止ワード」の一部を列記してみよう。

  <中国語:日本語>

宗教虔信者阵线:宗教信者の組織

西藏自由:チベットに自由を

蒙古独立:モンゴル独立

89民运:89年天安門事件

基督灵恩布道:キリスト教カリスマ派布教団

伊斯兰联:イスラム連盟 民运:民主化運動

女委:女性委員会

伊斯兰马格里布基地组织:イスラム・マグレブ諸国のアルカイダ

台独万:台湾独立への切望

美国之音:ヴォイス・オブ・アメリカ


 どうだろう。「ユーザーに対する情報統制をする気満々のラインナップ」と言えるのではないだろうか。欧州連合(EU)内では現在、これらの機能は非アクティブ化されているが、メーカーサイドはいつでもリモートでオン状態にできるし、単語を追加することも可能になっているという。


 ちなみにシャオミ側ではこうした指摘に「ユーザーとの間の通信を検閲しない」と反論している。


 ではスマホメーカーがそれぞれ行なっている独自の設定とはどういうものだろうか。調査ではそこにリスク要因があると見ている。


■ 中国の好感度、ヨーロッパで急降下


 リストニアはもともと旧ソ連から独立した国で、共産系や強権的な国に対して厳しい対応を見せている。ここ最近の中国との関係悪化を背景に、今年3月には、リトアニアの女性国会議員ドヴィーレ・シャカリアーナ(Dovilė Šakalienė)が中国政府によるウイグル族への迫害を批判し、「中国共産党からブラックリストに加えられた」と報じられた。


 この議員は、欧州など世界各地の政治家などとツイッターで中国批判のメッセージも作成して、最近公開し(https://twitter.com/DSakaliene/status/1437177023609331712)、中国のような強権的な国家の脅迫には屈しないと声を上げている。こうした動きには、かねてから5G通信機器などで中国企業の排除を進めてきたアメリカのトニー・ブリンケン国務長官が、「リトアニアをNATO加盟国の密接な同盟国として支持する」とツイートしている。


 欧州では、中国を発生源とする新型コロナ感染症の蔓延や、その後の責任逃れをしようとする中国政府の対応、さらに香港の安全維持法制定、ウイグル族への迫害などで中国に対するイメージがかなり悪化している。米ピュー研究所の欧州先進国9カ国(ドイツ、フランス、イギリス、イタリア、スペイン、ベルギー、スウェーデン、オランダ、ギリシャ)への調査で、中国を好ましくないと思っている人の割合は66%で、好意的に見ている人は28%だけだった。ちなみに一番中国を嫌っているのはスウェーデンで80%の国民が中国を批判的に見ている。


 2019年にG7の中で初めて中国の「一帯一路」に参画する覚書を交わしたイタリアも、今年2月に首相になったマリオ・ドラギ氏などは、中国に対して「多国間のルールを守らない専制国家、民主主義国家と同じ世界観を共有していない」と厳しく批判するようになっている。


 そうした中、今回の「検閲機能付きスマホ」という調査結果の公表は、さらに大きなイメージダウンの要素になるだろう。


■ ファーウェイ副会長の解放と引き換えに、中国政府も拘束中のカナダ人を釈放


 さらに最近、ファーウェイをめぐってはこんな動きが最近あった。


 「3年前、カナダで逮捕され、アメリカ司法省に詐欺の罪で起訴されたあと、一部の責任を認めることなどを条件に起訴を猶予する司法取引に合意した中国の大手通信機器メーカー、ファーウェイの孟晩舟副会長が、25日夜、中国に帰国しました(中略)一方、孟氏が逮捕されたあとに中国でスパイ容疑で拘束され実刑判決を受けたカナダ人実業家のマイケル・スパバ氏ら2人は現地時間の25日の朝、日本時間の25日夜、カナダ西部のカルガリーに到着しました」(NHKニュース、2021926日)


 皮肉なことに、人質交換のようなこのやり取りで、ファーウェイの副会長の一件に深く中国共産党が関与している実態を世界にさらす形となった。


 そんな中国をめぐる対応で今、欧州ではリトアニアが中国を批判する急先鋒となっている。それだけに、中国が覇権争いの道具に使っている5Gやスマホなどのテクノロジーを、リトアニアが糾弾するのも当然だろう。


 世界中でイメージ戦略や情報工作を展開し、自分たちの正当性を広めようとしている中国共産党にとって、リトアニアは厄介な存在となっていきそうだ。

山田 敏弘


山田 敏弘のプロフィール




国際ジャーナリスト。1974年生まれ。米ネヴァダ大学ジャーナリズム学部卒業。講談社、英ロイター通信社、『ニューズウィーク』などで活躍。その後、米マサチューセッツ工科大学でフルブライト・フェローとして国際情勢とサイバーセキュリティの研究・取材活動にあたり、帰国後はジャーナリストとして活躍。



著書に『モンスター 暗躍する次のアルカイダ』(中央公論新社)『ゼロデイ 米中露サイバー戦争が世界を破壊する』(文藝春秋)『CIAスパイ養成官 キヨ・ヤマダの対日工作』(新潮社)『サイバー戦争の今』(ベスト新書)『世界のスパイから喰いモノにされる日本 MI6、CIAの厳秘インテリジェンス』 (講談社+α新書) 。翻訳書に『黒いワールドカップ』(講談社)など。


テレビやラジオにも出演し、講演も行なっている。

Twitterのユーザー名は@yamadajour

『モンスター 暗躍する次のアルカイダ』(中央公論新社)

『ゼロデイ 米中露サイバー戦争が世界を破壊する』(文藝春秋)

『CIAスパイ養成官 キヨ・ヤマダの対日工作』(新潮社)

『サイバー戦争の今』(ベスト新書)

『世界のスパイから喰いモノにされる日本 MI6、CIAの厳秘インテリジェンス』 (講談社+α新書) 

『黒いワールドカップ』(講談社)


日本のパナソニック株式会社(前松下電気工業)もスマホを作っているかもしれませんが、パナソニックが家電部門の本社を中國に移転→まずは経営者が変わるべきかもしれませんが、創設者の松下翁も見たらなんと言うだろうね。 団塊はどうにもらならん。

「創業者が草葉の陰で泣いておるぞ」 と思ってしまう。 旧社名「ナショナル」ですよね? 今この会社の製品そのものを見なくなりましたね。

挙句の果ては本社の国外移転?「ナショナル」が泣きますよ?


仕事を部下に任せると、時間もできるし、偉くなったような気分にもなる。本当はそんな暇もないし、そういう気分になることもないのだが、そこが人間である。部下が仕事をやっているにもかかわらず、自分は付き合いだと言ってゴルフに出かける、交際費は節約しろと言いながら、自分は夜ごとの会社のカネで飲み歩く。遅刻するなと言いながら、自分は遅れてくる。約束は守れと言いながら、自分は守らない。

そういうことをすると、責任者としての権威がなくなっていく。

人間としてなすべきことをなす、なすべからざることはやらない。そこに権威というものが生まれてくる。自分の責任を感じながら、そういう点をきちんとしていれば、部下のほうも責任者に敬意を表しつつ、任せられた仕事に精いっぱいの努力をして向上していく。しかし、責任者がなすべきことをなさないと、だんだんと部下から軽く見られるようになってしまう。部下も手を抜くようになっていく。

特に経営者は、権限は委譲するが権威は維持するということを、よくよく心がけなければいけない。部下は必ず大将のまねをするようになる。よく松下の前で「うちの社員は仕事をしない」とか「できが悪い」とこぼしていく経営者がいた。

しかし、傍から見ているだけでも問題の多い経営者であることが見てとれたものである。仕事をしない、できが悪いのはそう言う経営者自身であることがわかっていないのだ。

中國の覇権主義や戰狼外交でEU内でも拒否反応が渦巻いていますが、一番脅威を感じなければならない日本が見事に中國に政界の連中が懐柔されている。

2019年にG7の中で初めて中國の「一帯一路」に参画する覚書を交わしたイタリアも、今年2月に首相になったマリオ・ドラギ氏などは、中国に対して「多国間のルールを守らない専制国家、民主主義国家と同じ世界観を共有していない」と厳しく批判するようになっている。

その中國は共産党の傘下にある人民軍?を監視抑圧の組織に対して人民は恐れはしても尊敬? いつでも治安を口実に銃口を向けるのが不安が先に立ってしまうのでは?

人民軍の士気が低下しているので不安が習近平主席にもあるのでしょうね。絶対的な権力があっても習近平主席の頭の中には本人の暗殺未遂も数多くあったのでは無いだろうか?会議や大会の様子を見ると習近平主席の前には湯呑がなぜ2個もあるのでしょうか?写真に前後に写っている若い人はそこにいる人と地位が同じなのか不思議です。

そんな中國をめぐる対応で今、欧州ではリトアニアが中国を批判する急先鋒となっている。それだけに、中國が覇権争いの道具に使っている5Gやスマホなどのテクノロジーを、リトアニアが糾弾するのも当然だろう。そのリトアニアが自前で代替の5Gのスマホが出来るでしょうか?

技術的には日本の対応で健全な、しかも安全な5Gや6Gのスマホを今からでも作ってこの様な国に提供すると日本の人気の高揚にも為るでしょう。

空っぽの研究施設が今の日本かも知れませんが、スパイ防止法を作って中國を追いかける事から始めることに為りますが政府もこの予算を注込(つぎこ)むことで製造環境にも雇用を確保しろ!

次のブログでは、日本の後を追いかけていた中國の土地バブルの寵児であった恒大集団が倒(こけ)た後始末にも、どの様な結果が?




  2021.9.28(火)

債務危機の恒大集団、畑違いのEV事業に手を出した「深い事情」

東アジア「深層取材ノート」(第106回)

https://jbpress.ismedia.jp/articles/-/67097


近藤 大介 フォロー 中国




 

上海にある恒大集団のオフィスビル(写真:ロイター/アフロ)


 先週末の925日土曜日の晩に、カナダで拘束されていたファーウェイの孟晩舟CFOが、1028日ぶりに解放されて中国に帰国したニュースが、世界を駆け巡った。


 だが私は、他にもう一人の中国人VIPの動向にも注目していた。それは、中国共産党序列4位の汪洋(おう・よう)中国人民政治協商会議主席である。


 ■ 恒大集団の後見人


CCTV(中国中央広播電視総台)の報道によれば、汪洋主席は924日金曜日の晩、北京民族院で1カ月近くにわたり行われていた第6回全国少数民族文芸会演の授賞式と閉幕式に出席した。その2日後の26日日曜日には、北京で行われた全国台聯の成立40周年記念大会及び第5回台湾同胞社団論壇の開幕式に参加し、習近平総書記に代わって祝辞を述べた。




 

819日、チベット自治区ラサを訪れ、チベット平和解放70周年の記念式典に出席した人民政治協商会議主席の汪洋氏。恒大集団の「後見人」と言える存在であもる(写真:新華社/アフロ)


 ただこれだけのニュースなのだが、汪政協主席は913日、やはり北京で開かれた全国政協の第59回主席会議に参加したと報じられて以降、11日間も、プツリと消息を絶っていたのだ。


 それはなぜか?  想像するに、恒大問題に対処していたのではなかったか。汪洋政協主席こそは、世界122位の巨大企業(『フォーチュン』誌発表)で、倒産の危機に陥っている不動産大手、恒大集団の「後見人」とも言えるキーパーソンだからだ。


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■ 「広州の帝王」となった許家印


 恒大集団は、1996年に河南省出身で当時38歳の許家印(きょ・かいん)氏が、広東省の省都・広州で、たった7人の仲間とともに創業した。だが、昨年の売上高123000億円(日本最大の三井不動産の約6.5倍)、従業員20万人という中国2位の不動産企業に成長できたのは、そして2017年に許家印CEO(当時)が資産5兆円で「中国首富」(中国長者番付トップ)に成り上がれたのは、汪洋氏のバックアップによるところが大きい。


 胡錦濤(こ・きんとう)政権下の2007121日、安徽省出身で胡主席側近の汪洋氏が、広東省党委書記(省トップ)として広州に送り込まれた。汪書記に託された任務は、「胡錦濤派」(団派=中国共産主義青年団出身者)が尊敬する故・鄧小平(とう・しょうへい)氏が唱えた「社会主義市場経済」と「先富論」(先に富める者から富んで行けという金持ち容認論)に基づき、中国31地域で最も豊かな広東省を、さらに経済発展させることだった。


 21世紀の最初の20年の中国経済の牽引役と言えば、圧倒的に不動産産業である。汪洋書記は、ほぼ同世代(汪書記が3歳年上)で、隣接する省出身の許家印CEOと意気投合し、恒大集団の「後見人」となった。


 翌20083月、汪書記の後押しで、許CEOは中国人民政治協商会議(政協)の委員になった。中国人民政治協商会議は、中国唯一の政府への公的諮問機関であり、その地位は全国人民代表大会代表(国会議員)に準じるものだ。5年後には、政協の常務委員に昇格した。


 同年11月、汪書記は許CEOを、「中国10大公益模範人物」の一人に推薦。翌125日には、北京でボスの胡錦濤主席に引き合わせた。


 こうした「後光」を得て、恒大は2009年に香港証券取引所に上場。許CEOは約7200億円の資産家となり、一夜にして「中国首富」となった。


 翌2010年には、やはり汪書記の後押しを受けて、「中国のJリーグ」にあたるCSLに広州恒大フットボールクラブ(現・広州フットボールクラブ)を加盟させた。以後、ブラジル選手を6人も加入させるなどして、広州FCはアジアクラブカップを2度も制する中国最強チームに育っていった。広州と言えば恒大で、許CEOはいつしか「広州の皇帝」と呼ばれるようになった。


 ■ 団派と習近平グループのせめぎ合い


 20121218日、汪洋書記が3カ月後に発足する習近平政権で副首相に昇進することが内定したことで、広東省党委書記のポストを、同じ「団派」の弟分である胡春華(こ・しゅんか)内モンゴル自治区党委書記(当時)にバトンタッチした。胡錦濤主席が決めた人事だった。


 その前月、201211月に中国共産党トップの総書記に就いた習近平氏は、この自分の力ではどうにもならなかった「汪洋→胡春華」という広東省党委書記の人事が気になったのかは知らないが、胡春華氏が赴任する直前の127日から11日まで、5日間もかけて広東省を視察した。その中で、「団派」の広東省利権のバックが、恒大集団であることを思い知ったということも考えられる。


 201612月、党中央の権力を掌握しつつあった習近平主席は、前年から「胡錦濤の弟分」李克強(り・こっきょう)首相に代わって掌握した中央経済工作会議で、「家は住むためのものであって投機するためのものではない」(房子是用来住的、不是用来炒的)というスローガンを唱えた。これは見ようによっては、恒大を始めとする不動産業界と、そのバックに控える「団派」への「挑戦状」とも受け取れた。


 2017630日、胡春華広東省党委書記は、まもなく自分の任期が終わることを踏まえて、恒大を「愛心企業」として、許家印CEOを「愛心人士」として表彰した。つまり、恒大と許CEOは「広東省の宝」であることを示したのである。


 同年1028日、第19回中国共産党大会で自らの権力を強化した習近平主席は、「忠臣」である李希(り・き)遼寧省党委書記(当時)を、広東省党委書記に送り込んだ。「広東省利権」を習近平グループが奪った瞬間だった。




 

2018310日、北京で開催された中国人民政治協商会議の第13回全国委員会の第1回会期中に、記者会見する恒大集団の許家印CEO(写真:アフロ)


 翌20183月、習近平主席は自らの政権の「2期目5年」を始めるにあたって、汪洋副首相を政協主席に「指名」した。政協は、前述のように中国唯一の公的諮問機関だが、政府に対する強制力はない。いわば「権威はあるが権力はない」機関である。


 ただ、国家主席、首相、全国人民代表大会常務委員長(国会議長)に次ぐ権威を持つので、共産党の序列では4位に来る。ともあれ、汪洋氏と許CEOは、政協主席と常務委員という立場で、再び二人三脚の日々が始まった。


 ■ 乾坤一擲のEV進出が裏目に


 政権からの「圧力」が強まる中、20191月、許CEOは「勝負」に出た。政権が「主力産業」に据えようとしているNEV(新エネルギー車)に進出したのである。8100億円も投資し、「本気度」を見せることで、生き残りを賭けたのだ。


 だがこれが、昨年年初からのコロナ禍で、裏目に出た。コロナ禍で中国人が不動産を買わなくなったことで、不動産企業はどこも資金繰りが悪化していったが、自動車産業に進出してしまった恒大は、とりわけ厳しくなったのだ。


 そこに政権が、追い打ちをかけた。昨年8月に「3つのレッドライン」(負債の対資産比率は70%以下、純負債の対資本比率は100%以下、手元資金の対短期負債比率は100%以上という「3つのレッドライン」に従って不動産企業を4分類し、それぞれの債務規模を制限する政策)を施行。今年1月には住宅ローン規制などの総量規制を施行。6月には大都市の不動産価格の上限と地方都市の下限を定める規制を施行。この政権が繰り出した「3連発」で、恒大は完全にノックアウト状態となった。


■ 恒大集団を待ち受ける運命は、破綻か解体か


 この秋の「6中全会」(中国共産党第19期中央委員会第6回全体会議)を経て、「中南海」(北京の最高幹部の職住地)は、来年秋の第20回中国共産党大会へ向けて一直線となる。いわゆる「権力闘争の季節」の到来だ。


 習近平主席は20回大会で、異例の「党総書記3期目」のコンセンサスを、ほぼ取りつつある。そうなると、次の焦点は、ナンバー2の首相人事である。


 「団派」の現役トップである李克強首相としては、同じ「団派」の汪洋政協主席か胡春華副首相に引き継がせたい。習近平主席は、おそらく自分の「忠臣」を据えたいだろう。ここに恒大問題が割って入ったのである。


 汪政協主席ら「団派」は「政府が恒大を救済すべきだ」と主張し、「政権側」には「潰してしまえ」という声もあった。9月に入ってそんな論争を続けているうちに、海外が「中国発の世界的金融危機(リーマンショック)到来か」と騒ぎ始めた。もしそんなことになれば、現政権も吹っ飛びかねない。


 そこで918日と19日の土日に急遽、韓正(かん・せい)党常務委員(序列7位)が広東省深圳を訪問。香港の金融当局幹部も呼び寄せて、善後策を話し合ったもようだ。




 

『ファクトで読む米中新冷戦とアフター・コロナ』(近藤大介著、講談社現代新書)


 今後、恒大がどうなるのかについてだが、一つの予測として、「本業」の不動産業だけをとりあえず残して、自動車、ネット映像、ミネラルウォーターなどの事業を売却させるのではないか。そこで得た資金で利払いを行い、現在着工するはずのマンションを着工させていく。


 それでも、33兆円もの負債を完済できる見込みはないから、「次の一手」も考えていくだろう。そして政権を動揺させないため、ソフトランディングを図っていくに違いない。


 いずれにしても、冒頭述べたように、汪洋政協主席が顔を見せ始めたところに、政権としての何らかのコンセンサスができたと見るべきだろう。ただし汪洋政協主席は、「次期首相レース」で脱落寸前かもしれないが。

近藤 大介


近藤 大介のプロフィール

ジャーナリスト。東京大学卒、国際情報学修士。中国、朝鮮半島を中心に東アジアでの豊富な取材経験を持つ。講談社『週刊現代』特別編集委員、『現代ビジネス』コラムニスト。


近著に『未来の中国年表ー超高齢大国でこれから起こること』(講談社現代新書)『二〇二五年、日中企業格差ー日本は中国の下請けになるか?』(PHP新書)『習近平と米中衝突―「中華帝国」2021年の野望 』(NHK出版新書)『ファーウェイと米中5G戦争』(講談社+α新書)『中国人は日本の何に魅かれているのか』(秀和システム)『アジア燃ゆ』(MdN新書)など。

『未来の中国年表ー超高齢大国でこれから起こること』(講談社現代新書)

『二〇二五年、日中企業格差ー日本は中国の下請けになるか?』(PHP新書)

『習近平と米中衝突―「中華帝国」2021年の野望 』(NHK出版新書)

『ファーウェイと米中5G戦争』(講談社+α新書)

『中国人は日本の何に魅かれているのか』(秀和システム)

『アジア燃ゆ』(MdN新書)


この記事で恒大集団は、1996年に河南省出身で当時38歳の許家印(きょ・かいん)氏が、広東省の省都・広州で、たった7人の仲間とともに創業した。だが、昨年の売上高123000億円(日本最大の三井不動産の約6.5倍)、従業員20万人という中国2位の不動産企業に成長できたのは、そして2017年に許家印CEO(当時)が資産5兆円で「中國首富」(中國長者番付トップ)に成り上がれたのは、汪洋氏のバックアップによるところが大きいとされる?


中國共産党が生み出した制御不能のモンスター!


「父つぁん」の説明や考えを聞いて


「俺っち」も経緯を聞いて、中國の胡錦濤(こ・きんとう)政権下の2007121日、安徽省出身で胡主席側近の汪洋氏が、広東省党委書記(省トップ)として広州に送り込まれたが、汪書記に託された任務は、「胡錦濤派」(団派=中国共産主義青年団出身者)が尊敬する故・鄧小平(とう・しょうへい)氏が唱えた「社会主義市場経済」と「先富論」(先に富める者から富んで行けという金持ち容認論)に基づき、中國31地域で最も豊かな広東省を、さらに経済発展させることだった。


21世紀の最初の20年の中國経済の牽引役と言えば、圧倒的に不動産産業である。汪洋書記は、ほぼ同世代(汪書記が3歳年上)で、隣接する省出身の許家印CEOと意気投合し、恒大集団の「後見人」となった事です。


しかし、「武漢ウイルス」まで予想していな事が裏面に為ってしまうことまで計画の中には無く、政権からの「圧力」が強まる中、20191月、許CEOは「勝負」に出た。政権が「主力産業」に据えようとしているNEV(新エネルギー車)に進出したのである。8100億円も投資し、「本気度」を見せることで、生き残りを賭けたのだ。


習近平国家主席で無ければ上手く行ったのかもしれませんが?

この様な中國に救いの手は望めない事はどっぷり企業活動を日本の企業にも言えますが?

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