2001年9月11日、米国で同時多発テロが発生。実行したのは、ウサマ・ビンラディンが率いるアルカイダです。アルカイダは当時、アフガニスタンの90%を実効支配していました。
米国は、アルカイダの引き渡しに応じなかったタリバン政権に対し、「不朽の自由作戦」にもとづいて攻撃。わずか2ヶ月ほどでタリバン政権は崩壊しました。
2001年11月には暫定政府が発足。2004年におこなわれた大統領選挙を経て「アフガニスタン・イスラム共和国」が正式に成立し、カルザイが初代大統領に就任します。
しかし2005年後半から、タリバン勢力がアフガニスタン全土で蜂起。駐留する米国軍やNATOが設立した国際治安支援部隊、アフガニスタン国軍を相手に抵抗を続け、2019年現在も終息の兆しが見えない状況が続いているのです。
またアルカイダについては、2011年にウサマ・ビンラディンがアメリカの特殊部隊によって殺害され、2019年には息子のハムザ・ビンラディンも殺害されていますが、いまだ組織の根絶にはいたっていません。
アフガニスタン紛争は、アメリカが建国して以来もっとも長い戦いとなり、2018年10月までで約14万6000人の命が失われたといわれています。
当時のオバマ大統領が掲げた計画では、2015年1月からは、アフガニスタン治安部隊への支援や、アルカイダの残党に対する対テロ作戦を主眼とする「自由の歩哨作戦」を開始して、2016年末までに大使館の警護要員らを除いて全面的に撤退するとのことでした。
しかし想定よりも治安部隊が弱体化しており、米国軍抜きでタリバンに対抗することは難しく、2015年10月に計画は見直し。2017年にはトランプ大統領のもとで米国軍が増強されています。
タリバンは、最高指導者ムハンマド・オマルが2013年に、後継者のアフタル・ムハンマド・マンスールも2016年に殺害されていますが、第3代最高指導者ハイバトゥラー・アクンザダのもと、勢力を維持しています。
その一方で米国やアフガニスタンとの和平交渉は断続的におこなわれていて、2019年9月2日には、タリバンがアフガニスタンを攻撃拠点として利用しないことを条件に、アフガニスタンに駐留するアメリカ軍約1万4000人のうち5400人を20週以内に撤退させることで大筋合意したと発表されました。
しかし9月5日、カブールで米国兵1人を含む12人が死亡した自動車爆破事件が起こり、タリバンが関与を認めると、トランプ大統領は9月8日に予定されていた会談を中止。この会談には、タリバンの指導者とアフガニスタンのアシュラフ・ガニ大統領が出席する予定でした。
さらに9月9日、トランプ大統領は「和平交渉は死んだ」と述べ、アメリカ軍による攻勢を強化する考えを明らかに。一方でタリバンとの交渉に否定的だったボルトン国家安全保障問題担当大統領補佐官を解任したり、「和平協議を再開する方法がある」とTwitterで主張したりと、計略をめぐらせている状況です。
弱腰の交渉に対しては米国国内からの批判の声もあり、米国国民を納得させられるだけの大義名分を得られるかも重要な論点になっています。仮に治安部隊やアフガニスタン国軍の強化が進まないなかでアメリカ軍が撤退すると、タリバンの攻勢は増すばかりでしょう。今後も予断を許さない状態が続きます。
米軍アフガン撤退を正当化
バイデン大統領、誤算認める
https://nordot.app/800096801324007424
©一般社団法人共同通信社
ホワイトハウスで演説するバイデン大統領=16日、ワシントン(AP=共同)
【ワシントン共同】バイデン米大統領は16日、イスラム主義組織タリバンが復権したアフガニスタンについてホワイトハウスで演説。ガニ大統領が国外逃亡や政府軍が十分戦わなかったことを指摘し「アフガン人自身が戦わない戦争で米兵が犠牲になってはならない」と述べ、米軍撤退の判断を正当化。一方、事態が「想定外の早さで展開した」として見通しを誤ったことを認めた。
「中国とロシアは米国がアフガンにかかりきりになるのを期待している」と述べ、中ロとの戦略的な競争に重点を移す時と説明した。
バイデン氏はワシントン近郊の大統領山荘キャンプデービッドに18日まで静養予定だった。
確かに各国が軍を派遣して協力をしていましたが、既に撤退を完了。
2001年の米国中枢同時テロが発生して以後から首謀者と目されるビンラーディンのへ攻撃から米国がアフガニスタン軍事進攻を初めて20年。
今はバイデン大統領が撤退を決めた期限が今月末の31日に撤退完了をさせると明言!それにしても自国の安全を担う国軍がいとも簡単にタリバンに取って代わられるとは思ってもいなかったのでしょう。
他国の問題と考えている日本の問題にも直結する安全問題と思わない日本の報道と野党もおかしな存在と思う。
ニュース 戦争・紛争
バイデン氏、アフガン陥落「予想外の早さ」
撤収堅持
https://www.afpbb.com/articles/-/3361958?cx_part=top_topstory&cx_position=1
発信地:ワシントンD.C./米国 [ 米国 北米 アフガニスタン アジア・オセアニア ]
❮ 1/4 ❯ 米ホワイトハウスでアフガニスタン情勢について国民向け演説を行うジョー・バイデン大統領(2021年8月16日撮影)。(c)Brendan SMIALOWSKI / AFP
❮ 2/4 ❯ 米ホワイトハウスでアフガニスタン情勢について国民向け演説を行うジョー・バイデン大統領(2021年8月16日撮影)。(c)Brendan
❮ 3/4 ❯ 米ホワイトハウスでアフガニスタン情勢について国民向け演説を行うジョー・バイデン大統領(2021年8月16日撮影)。(c)Brendan
❮ 4/4 ❯ 米ホワイトハウスでアフガニスタン情勢について国民向け演説を行うジョー・バイデン大統領(2021年8月16日撮影)。(c)Brendan
【8月17日 AFP】(更新)ジョー・バイデン(Joe Biden)米大統領は16日、アフガニスタン情勢をめぐり国民向け演説を行い、アフガン政府の崩壊が予想以上に早かったことを認めつつも、米軍の同国撤退を決めた自身の判断を正当化した。
【関連記事】タリバン、政府軍から米供与の武器奪取 勢力拡大の一因に
バイデン氏は「私は常に米国民に対し、率直に話すと約束してきた。正直、これ(アフガン政権崩壊)は私たちの予想外の早さで展開した」と説明。「私たちはアフガニスタンに、自らの未来を定めるためのあらゆる機会を与えた。その未来のために戦う意思を与えることはできなかった」と述べた。
一方で、「私は自分の決断を堅持する。20年間で、米軍を撤退させる好機などないということは身をもって学んだ」と言明。米国のアフガニスタンでの関心は常に、同国から米国本土へのテロ攻撃を阻止することにあったとし、「アフガニスタンでの任務は、国造りとなるはずでは決してなかった」と述べた。
旧支配勢力タリバン(Taliban)の政権復帰により女性の権利後退が懸念されていることについては、「私たちはアフガン国民、そして女性や少女の基本的権利について声を上げ続ける」と語った。
タリバンに対しては、カブールの空港で行われている数千人の米外交官とアフガン人通訳者の避難を妨害しないよう警告。タリバンから攻撃があった場合、「必要であれば壊滅的な武力を行使する」と宣言した。(c)AFP
アフガニスタンでは、反政府武装勢力タリバンが首都カブールに進攻し、日本時間の16日朝早く、政府に対する勝利を宣言した一方、ガニ大統領は出国し、政権は事実上、崩壊しました。
今回のタリバン進攻の背景には、ことし4月末から始まった米国軍の撤退が大きく関わっています。
タリバンは1994年にアフガニスタン南部で結成した過激集団で2年後には首都カブールを制圧して政権を樹立したが2001年の米国同時多発テロ事件の首謀者とされるオサマ・ビンラディン容疑者の身柄引き渡しを拒否したことで米国軍が軍事侵攻を行った結果が現在までの駐留に為っていた。タリバンは、旧ソビエト軍撤退後の内戦で国内が疲弊していたさなかの1994年にアフガニスタン南部で結成されました。
タリバンが「優しさ」アピール、国際社会は真に受けず-課題も山積
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2021-08-16/QXXS2DDWLU6A01
Faseeh Mangi、Eltaf Najafizada
すでに婚姻の強制や女性差別の報告、「言葉と行動は違う」と識者
タリバンの政治力は未知数、「苦しいのはこれから」-専門家
1日を始める前に押さえておきたい世界のニュースを毎朝お届け。ブルームバーグのニュースレターへの登録はこちら。
電光石火の勢いでアフガニスタン政権を掌握し世界を驚かせたタリバンは、週末に「誰も命を心配する必要はない」との声明を発表した。ソーシャルメディアを駆使し、多様性を取り込んだ政府が望ましい、政敵への報復はしない、外交官の安全は保証する、投資家は何も心配しなくてよい、といった聞こえの良い言葉をメディア担当チームを通じて発信している。
タリバンのナンバー2であるバラダル師は16日、「われわれは思いあがってはならない」と表明。「われわれがいかに住民に奉仕し、安全を守り、可能な限り良い生活と未来を確実にすることができるか、試される時が来た」と自らを戒めた。
こうした懐柔姿勢がタリバンの原理主義的な思想の変化を意味するのか、懐疑的な人は多い。すでに婚姻の強制や女性職員に対する差別が報告されている。男性にはひげをそることが禁止されたという。
リスクコンサルタント会社コントロール・リスクスの政治アナリスト、アルスラ・ジャワイド氏は「80年代、90年代のタリバンとはかなり異なる」としつつ、「言葉で言うのと、それを実行するのでは大きな違いがある」と警戒する。
戦車を操るタリバン戦闘員(1995年、カブール近く)
Photographer: Robert Nickelsberg/The
Chronicle Collection/Getty Images
2001年の米軍侵攻で当時のタリバン政権が崩壊して以降、男女平等をうたう新憲法が制定された。依然として女性差別は残るものの、学校は男女共学となり、多くのアフガン市民はインターネットや欧米の映画、クリケット観戦といった現代的な生活を味わえるようになった。
タリバンとの戦闘でアフガン入りした米軍部隊(2006年)
Photographer: John Moore/Getty Images
カブールが陥落した15日、タリバンは住民の支持を取り付けようと行動。「ならず者」の蛮行で困ったら電話してほしいと、メッセージングアプリのワッツアップを使って住民に電話番号を教える戦闘員もいた。
カブール大学の学生、モハムード・カデリさんは「連中は銃を肩にかけ、住民に丁寧な態度で様子を尋ね、困ったら連絡してくれと言っていた」と述べた。
タリバンによる政権掌握は短期的には成功するとみられる。しかし、多様な民族や宗派が混在するアフガニスタンをまとめるのは至難の業となりそうだ。タリバン内での権力抗争もある中、さまざまな軍閥や国民の反発を抑え込むためには経済成長も遂げなくてはならないと、専門家は指摘する。
インドのシンクタンク、オブザーバー・リサーチ・ファンデーションの研究員で、「イスラム国(IS)」についての著書があるカビール・タネジャ氏は、「タリバンが軍事組織として効率的なのは周知のことだが、政治組織としての効率性はどうなのだろうか。それは未知数だ」と指摘。「タリバンにとって苦しいのはこれからだ」と述べた。
原題:Taliban Mullahs Vow Gentler Approach to Win Over
Skeptical World(抜粋)
タリバンとは、イスラム教を学ぶ「神学生」という意味で、隣国パキスタンのイスラム神学校で教育を受けた学生たちが「真のイスラム国家の樹立」を掲げて結成しました。この様に宗教問題に立ち入ることの難しさがよく判ります。米軍撤退の背景 対中国戦略と世論の“戦争疲れ”を立場が違う日本も自国に於いての国体維持を考える必要がある。
2017年に就任したトランプ前大統領はアフガニスタンからの撤退を目指してタリバン側と和平交渉を続け、去年2月に初めての和平合意に署名しました。
アメリカ政府とタリバンの和平合意ではアフガニスタンに駐留するアメリカ軍などが合意から14か月以内に完全撤退することが盛り込まれ、ことし5月1日までという撤退の期限が示されました。
ただ現地では和平合意以降も戦闘やテロが相次ぎ、ことし1月に発足したバイデン政権は期限を4か月余り延期して同時多発テロから20年となることし9月11日までに完全撤退させると決めました。
さらに7月、バイデン政権は現地のアフガニスタン政府軍には十分な力が備わっているなどとして完全撤退の時期を8月末とする方針を発表しました。
バイデン大統領が撤退を命令した期限に取り残される人々にも大きな懸念が次の記事です。ただ会員記事なので全文を読まないと判断できませんが無事を祈るばかりです。
朝日新聞デジタル 記事
「次に殺されるのは自分かも」アフガン支援者ら祈る無事
https://www.asahi.com/articles/ASP8J7HM6P8JUTIL02K.html?iref=comtop_list_02
会員記事 アフガニスタン情勢
笹川翔平、山本知佳、武田剛、伊藤繭莉、外尾誠、植松敬
1 / 6 今年3月、現地から届いたナンガルハル大学の女子学生寮の写真=西垣敬子さん提供
2 / 6 アフガニスタンの支援を長年続けてきた西垣敬子さん==2021年3月11日、兵庫県宝塚市、千種辰弥撮影
3 / 6 カブールで16日、米兵が警戒する空港に集まったアフガニスタンの人々=AFP時事
4 / 6 カブールで16日、米兵が警戒する空港に集まったアフガニスタンの人々=AFP時事
5 / 6 カブールで16日、空港ターミナルに向かって走る人々の群れ=ロイター
6 / 6 カブールの空港で16日、機体の上にのぼる人々。国外へ避難しようと、多くの人が空港に押し寄せた=AFP時事
アフガニスタンの首都カブールが反政府勢力タリバーンに占拠され、ガニ政権が崩壊したことに、国内のアフガニスタン関係者に動揺が広がった。タリバーン政権が倒れて20年。再び混乱し始めた情勢に家族や知人の無事を願う声や国情の安定を祈る声が相次いだ。
1994年から20年余りにわたってアフガン訪問を重ね、女性や子どもの教育などを支援してきた兵庫県宝塚市の西垣敬子さん(85)は情勢が緊迫する中、現地と頻繁に連絡を取ってきた。「急激に状況が変化してみんな戸惑っている」。連絡が取れなくなった人もいるという。
米国に留学経験のある男性は数日前、「米国に留学した人が2人殺された。3人目は自分かもしれない」と不安な心境を西垣さんに明かした。芸術が専門の男性大学教授も「作品は燃やされるだろう。自分も命を狙われるのではないか」とおびえていたという。
タリバーンは96~2001年にアフガンの政権を握った際、極端なイスラム教の解釈をもとに、女性が教育を受けることなどを禁じた。国際社会では女性の人権抑圧への懸念が高まる。
前政権時代をよく知る西垣さんは「当時の記憶があるから国際社会の反応は当然だ」としつつ、「20年が経ち、国際社会からの孤立は避けようとするはず。以前とは違う、進歩したタリバーンになっていると信じたい」と話す。
90年代後半に西垣さんが会ったタリバーン関係者は「平和が訪れれば女性の教育は再開する」と話していた。メンバーにも10代の若者が多く、西垣さんが「あなたたちが大事にしているお母さんは女でしょう」と、女性教育の重要性を指摘すると、みな戸惑ったように苦笑いしたという。
西垣さんは07年、東部ジャララバードのナンガルハル大学に定員50人ほどの女子寮を作った。今春、現地から「今年も寮は満員です」と写真が送られてきた。「おそらく今、寮には誰もいないと思うと悲しい。でも落ち着けば、また女子学生たちが戻れるようになると信じている」と話す。
「ありがとう」と言ってくれたアフガン選手 「無事を確かめたい」
「カブールの娘たちがとても…
この記事は
残り:1811文字/全文:2686文字
日本はイスラム教の国教ではないし、宗教の自由が保障されている事が幸いしているが、人間が考えた宗教よりむしろ自然を宗教観として持っている事が大きい。
この宗教観を中國や他国も多いに取り入れて欲しいものだと思います。
逆に中國は宗教は、ご法度でアフガンに素早く入り込もうとしています。経済で得たお金が共産党にとっての目的なのか、軍備に注込み懐に入れる。
気が付けば、哀れ我が日本は経済や技術に於いて見事に?下降線で上を向けば多くの国の後姿を見るばかり。日本の今後を憂える人はいないのでしょうか?
若者の仕事に対するヤル気を削いでいるのが日本の経済の慢性的な下降線で世界に目を向ける気持ち迄なくなってしまう。アフガン問題って我々の生活にどのような影響が在るんだ!って思っている。
「俺っち」もそんな思いだよ!
この問題は中東紛争に端を発して現在のイスラム教戦争の様相を呈しています。
本来、信仰上の違いがほとんどないスンニ派とシーア派。
0 件のコメント:
コメントを投稿