中國のワクチン外交は、もはや対象に為った国に効果が有りそうと、受け入れた東南アジア諸国連合(ASEAN)に加盟する各国では、一部を除いて感染者や感染死者が急激に増加しており、極めて深刻な状況に陥っている。
インドネシアやタイで政府が導入したのは中國製ワクチンだった。無償提供などで積極的に「ワクチン外交」を進める中國政府の思惑に便乗する形でもあった。そのワクチンはシノバック・バイオテック社製とシノファーム社製だ。
接種完了者に世界の疑念が治療にあたる医療関係者の感染死が相次いでいるというのだ。しかも、亡くなった医療関係者の多くは、「優先接種」で中國製ワクチンの接種を受けていたという。そのため中國製ワクチンに対する不信感が高まっているのだ!
疑念が膨らんでいる問題として物議を起しているが、このような動きは途上国側にとって、特にシンガポールは、国としては米ファイザー・独ビオンテック製とモデルナのワクチン接種を進めているが、シノバック製は扱っていない。
だが、それとは別に民間クリニックがシノバック製のワクチン接種を行っており、中華系の人が多いこともあって人気もある。だが、シンガポール政府はコロナワクチン接種数の統計からシノバック製ワクチンを除外するとした。国の予防プログラムはあくまでファイザー・ビオンテックやモデルナのワクチンで進めるという意志の表明だろう。ワクチン開発を行っている国は少ないので、中國がワクチン外交を受け入れる国は藁(わら)をも縋(すが)る対応です。いよいよ日本も「4回目の緊急事態宣言」のもと「無人オリンピック」など、後から振り返れば世にも奇妙にねじれた時代の歯車が回る2021年の夏本番となりました。様々な接種への壁もありながら、中國製のコロナワクチン、シノバックの効果が?。
それに引き換え、特にファイザーとモデルナの「mRNAワクチン」が圧倒的な成功を収めているのは、驚くべき事実です。
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今年のノーベル医学賞に当確点灯、mRNAコロナワクチン
「偽ウリジン」修飾によるmRNAワクチン「革命」
https://jbpress.ismedia.jp/articles/-/66052
伊東 乾 世界情勢 生物学 学術
mRNAを使ったワクチンがこれほど早く開発されたのは驚きだ
さていよいよ「4回目の緊急事態宣言」のもと「無人オリンピック」など、後から振り返れば世にも奇妙にねじれた時代の歯車が回る2021年の夏本番となりました。
新型コロナウイルス感染症用のワクチンを打っておられますでしょうか?
社会問題化している品薄で、首相官邸のグラフなど、見かけ上1日あたりの接種数が激減するなど、どうしようもないことになっています。
システマティックな対応がなければ、乗り切れるはずの困難も乗り切れなくなってしまう懸念があります。
世界各国では、ワクチンの普及によって一通りのコロナ収束を見せたところも少なくありません・・・でした。
それらがまた「コロナ再燃」となっていたりもするのは、もっぱら未接種者への感染など、防疫対策が不徹底なところを、変異株が狙い撃ちにしている様子です。
幸い日本にはそういうことがありませんが、社会的、宗教的な分断によって、英国のバングラデシュ移民層のように、ある集団がごっそりワクチン低接種層といったところもないわけではありません。
様々な接種への壁もありながら、コロナワクチン、特にファイザーとモデルナの「mRNAワクチン」が圧倒的な成功を収めているのは、驚くべき事実です。
率直に申し上げて2020年の今頃、私はmRNAワクチンが実現するとは、思っていませんでした。
それは私たちだけのことではなく、アストラゼネカなど別の原理のワクチン(この場合は「ウイルスベクター・ワクチン」)開発に舵を切った企業は、そちらに勝算があると思って道を選んでいった。結果は「mRNAワクチンの一人勝ち状態」となっている。
今回は、やや気が早いですが、毎年10月10日前後に発表されるノーベル賞、特にノーベル医学生理学賞の大本命として、mRNAワクチンの開発原理の確立に焦点を当ててみましょう。
「偽ウリジン」修飾によるmRNAワクチンの勝利について考えてみます。
壊れやすいRNA
私たちの命を繋ぐ遺伝子がDNA、デオキシリボ核酸の配列で記されているのは、なんとなく言葉では知っているという方が多いと思います。
私は大学に助教授で呼ばれた2~3年目、教養学部の「体育」正確な名称は「必修身体運動科学」の実験カリキュラム作りのお手伝いで、少しだけバイオに触ったことがあります。
DNAは、精製して取り出すと、白い糸のように見え、思ったより清潔感のあるものが目に見えたのが驚きでした。
本来は細胞内の「核」に格納されていますが、長く伸ばすと数センチにも及ぶ細長い分子です。
DNAはそんな具合で、目にも見えるのですが、RNAはいまだお目にかかったことがありません。
RNAは、DNAに記されている遺伝情報の中から、必要な部分だけを抜き書きして施工図面とし、たんぱく質を合成する工場、小胞体上の「リボゾーム」まで運んで、そこでアミノ酸を並べてたんぱくを作る、職人用のメモのような分子です。
メモの宿命として、そんなに長く大事にしてもらえません。用が済んだらゴミ箱行き。使い終わったRNAは、さっさと壊されてしまいます。
私たち生物の細胞内、体内はもとより、水道の水や川の水など、環境の至る所にmRNA分解酵素「RNASE」が偏在しています。
仮に新型コロナウイルスの、周りの外皮が壊れ、中身のRNAが裸で出てきてしまったら、そこらにいくらでもある「分解酵素」にやられて、コロナの遺伝子はひとたまりもありません。
RNAワクチンを成立させた「偽ウリジン」
生命の細胞の中で、直接たんぱく質を合成する命令書「RNA」を自在に書き込んで薬として投与すれば、様々な夢の治療ができるに違いない・・・。
「RNA製剤」という夢は決して昨日今日のものではなく、非常に古くから考えられていたようです。
早くも第2次世界大戦中の1939年にはRNAがたんぱく質合成に関わっているらしいことが分かりました。
それ以降、1953年ワトソン・クリックのDNA二重らせん構造の決定、1961年から始まるDNAとRNAの遺伝暗号の解読、1970年のRNAからDNAへの逆転写酵素の発見・・・と、ここ半世紀、RNAは常に最も重要な物質でありながら、創薬の全面に出てくることが少なかった。
扱いにくかったからだそうです。壊れやすい。そのまま薬として投与しても安定していない。免疫系が異物と認識して炎症反応を引き起こす・・・。
「mRNAを薬として使おうとしても、うまくいかないだろう」
アストラゼネカでなくても、多くの分子生物学者、多くの製薬企業がそう思っていた。そんな背後で、今回のワクチンを実現する「革命」が2005年に起こっていたのです。
米国のペンシルバニア大学でRNAと免疫の研究室を主催していた医科学者・ドリュー・ワイスマン(https://en.wikipedia.org/wiki/Drew_Weissman)と、脳外科に所属していたハンガリー生まれの女性生化学者・カタリーン・カリコ(https://en.wikipedia.org/wiki/Katalin_Karik%C3%B3)のグループは「RNA修飾」の手法を確立します。
これが今回のmRNAワクチン成功の本質的な原点となりました。
天然の、あるいは野生のRNAは、アデニン、グアニン、シトシン、ウラシルという4つの「核酸塩基」の組み合わせで、遺伝暗号を伝えています。
新型コロナウイルスのゲノムもmRNAですから、当然これらでできています。
実際には核酸塩基たちは5つの炭素からなる環状の「5炭糖」リボースと結びついて「ヌクレオシド」という形をとっており、その場合アデノシン、グアノシン、シチジン、ウリジンの名で呼ばれます。
RNAを構成する4つの「ヌクレオシド」
これらは2つずつ組みになって、アデノシンはウリジンと、グアノシンはシチジンと「水素結合」で結びつき遺伝暗号をコピーし合います。
核酸塩基は2つずつ組みになって引きつけ合う
この「野生」のRNA製剤を注射しても、炎症反応などがひどく薬として使い物にならないことが問題になっていました。
ワイスマンやカリコのグループは、同じRNAでも、t-RNAというアミノ酸を引っ張ってくるタグのような分子では、炎症反応が見られないことを発見しました。
そこで、その中に使われている「ウリジン」の兄弟のような分子(正確には「異性体」)「スードウリジン」意味としては「偽ウリジン」に、ウリジンを置き換えてみました。
すると、物質として安定し、炎症などの反応も起きない「扱いやすいRNA」を作ることができたのです。
原著論文は様々な意味で志の高い仕事ですが、2005年時点、16年前にはそれほど脚光を浴びることはありませんでした。
その後、カリコ博士はドイツの製薬会社ビオンテックに移動。そして2020年、運命の「新型コロナウイルス感染症パンデミック」が発生したのでした。
ワクチンの「偽コロナ・ゲノム」
2020年、新型コロナウイルス感染症が爆発的に蔓延し始めた当初、mRNAウイルスであるということで、RNA製剤が検討されました。
このとき、ビオンテックの副社長を務めていたカタリーン・カリコ博士は、新型コロナウイルスの「つのつの」スパイクたんぱく質の全長を取り出し、その「ウリジン」部分をすべて「偽ウリジン」に置き換え、生体内で免疫反応を引き起こさず、物質としても安定な「偽コロナゲノム」の断片作成を指導します。
当初は細胞に結合する部分「RBD」だけ偽ウリジン化して、エコノミカルにワクチンを試してみたようですが、あまり効かなかった。現在接種されているのは全長のものとのことです。
ビオンテックはファイザーと提携してこの仕事に取組み、完成させます。
そして実際に打ってみたら、効いたわけです。
新型コロナワクチンのうち、中国製の不活性化ワクチンは、コロナウイルスそのものを使い、これを無害化して接種します。
これに対して、mRNAワクチンに関しては、合成されたRNAの「ウリジン」部分がすべて「偽ウリジン」に置き換えられた、いわば「サイボーグ・コロナスパイク」RNAとして投与され、人間の体内で抗原となるウイルスのスパイクを作り出すのです。
ウリジンを偽ウリジンに置き換えても、遺伝暗号としては同じ内容を伝え、かつ、炎症などが抑えられ、効率的に抗体が生産される・・・。
そんな基礎技術「RNA修飾」を結果的にワイスマン、カリコのグループは確立していた。カリコ博士は個人でもこの特許を持っており、ビオンテックの副社長に招聘された経緯であるようです。
2021年のノーベル医学生理学賞は、ワイスマン、カリコ両氏を含むメンバーへの授与が確実視されています。
彼らの業績としては「新型コロナウイルス・ワクチンの開発」を含む内容が記されるでしょう。
しかし、実際には基礎研究を続け、カギとなるプロセス「RNA修飾」という本質的なファクトを発見した功績が大きいと言えます。
つまり、遺伝情報を担う核酸塩基にいろいろな飾りをつけたり組み替えて物質としての性質が変わっても、同じ遺伝情報を伝えることができる。
端的には、注射しても炎症が起きないといった長く教科書に載るような決定的な事実を発見した。
この時点、2005年には、新型コロナもへったくれも何も存在していないわけです。
たまたま、当たった。それが運が良い、悪いではなく、ワイスマンやカリコなどの専門家が、はやりすたりと無関係に、本当に地道な基礎科学を一貫して研究してきた結果、それが「使える!」となったとき、爆発的に力が発揮されたわけです。
私は、この連載を含めメディア上で日常的に原稿を出していますが。本来の本業は楽隊ですし、大学研究室主催者としては、よほど地道な「私たちの分野の基礎研究」を一貫して進める職人の生活と表裏させています。
その観点から記しますが、基礎がなければ始まりません。雨後の筍のようにはやりすたりで集まってくるようなことではない。
じっくりと腰を据え、本質的な問題と取り組み続けてきた人たちが、全人類の危機であるコロナというタイミングで役に立つ仕事ができた。
こういう時代です。特に若い人たちには、流行に惑わされず、本質的な疑問を胚胎し、またそれを愛し続けて、地に足の着いた仕事をしてほしいと思います。
ワイスマン+カリコのグループは、そんな取り組みを長年続けてきた人たちにほかなりません。
なお、本稿の内容は ルイ・パストゥール医学研究センター、また東京大学ゲノムAI生命倫理研究コア・特任研究員として私たちのグループでもご活躍いただいている宇野賀津子先生のご教示のもと、原著などを調べて準備しました。
宇野先生に心からお礼を申し上げるとともに、瑕疵などありましたら、文責はすべて筆者に帰するものです。
(つづく)
伊東 乾のプロフィール
作曲家=指揮者 ベルリン・ラオムムジーク・コレギウム芸術監督
1965年東京生まれ。東京大学理学部物理学科卒業、同総合文化研究科博士課程修了。2000年より東京大学大学院情報学環助教授、07年より同准教授、慶應義塾大学、東京藝術大学などでも後進の指導に当たる。若くして音楽家として高い評価を受けるが、並行して演奏中の脳血流測定などを駆使する音楽の科学的基礎研究を創始、それらに基づくオリジナルな演奏・創作活動を国際的に推進している。06年『さよなら、サイレント・ネイビー 地下鉄に乗った同級生』(集英社)で第4回開高健ノンフィクション賞受賞後は音楽以外の著書も発表。アフリカの高校生への科学・音楽教育プロジェクトなどが、大きな反響を呼んでいる。他の著書に『表象のディスクール』(東大出版会)、『知識・構造化ミッション』(日経BP)、『反骨のコツ』(団藤重光との共著、朝日新聞出版)、『日本にノーベル賞が来る理由』(朝日新聞出版)など。
この記事の化学式は理解できる人は少ないでしょうが、筆者は東京大学理学部物理学科卒業、同総合文化研究科博士課程修了。2000年より東京大学大学院情報学環助教授、07年より同准教授、慶應義塾大学、東京藝術大学などでも後進の指導に当たる。若くして音楽家として高い評価を受けるが、並行して演奏中の脳血流測定などを駆使する音楽の科学的基礎研究を創始、それらに基づくオリジナルな演奏・創作活動を国際的に推進している。
著書に『日本にノーベル賞が来る理由』と言う本も出されているので記事の様にノーベル賞の情報にも精通しているので最終的にどの様な結果が出るのか興味がありますね。
中國の世界に対する安全保障に目を向けた問題に結びついている事に説得力を記事発信をしているのかもしれません。
この問題では中國が発展途上国に融資できる国が素晴らしいと思われているのでしょうが問題が起きた時に当事国の二国間で解決しなさいと言うだけで「国際連合の拒否権」を持つ中國に対して何も制裁できずに、秩序を壊されて対応できない事が見え見えです。
そこで中國が「APEC臨時会議」ワクチン外交で不評を脱コロナで世界が一致団結を崩そうと3300億円支援で良い面を得たいと支援表明したようだね。
インドネシアの「武漢ウイルス」に新型コロナウイルスの感染拡大に歯止めがかからないインドネシアで9日、政府が外国人に対する出国制限を緩和した。主に中國製のワクチン接種が国際線の搭乗に義務付けられ、在留邦人の中で不安が広がっているようで、日本人の感染者数は増え続け、救援機を送って日本企業の60人以上が日本で入院と帰国をしたと聞きました。
帰国で日本に戻れた事が安心しているそうです!
中国、3300億円支援表明 日米と脱コロナ主導権争い―APEC臨時会議
https://www.jiji.com/jc/article?k=2021071600841&g=eco
新型コロナウイルスのワクチン接種を受けるニュージーランドのアーダーン首相(左)=6月18日、オークランド(AFP時事)
【シドニー、北京時事】アジア太平洋経済協力会議(APEC)臨時首脳会議が16日、オンライン形式で開かれた。新華社通信によれば、出席した習近平中国国家主席は新型コロナウイルス危機への対応で「発展途上国向けにワクチン5億回分以上を供与した」と強調した上で、今後3年間で30億ドル(約3300億円)の国際支援を行う方針を表明。推進する「ワクチン外交」をアピールし、対中強硬姿勢を鮮明にする米国と「脱コロナ」に向けて主導権争いを演じた。会議には菅義偉首相と、バイデン米大統領も参加。危機からの回復が進む経済情勢などを協議した。
米中、「脱コロナ」貢献競う ワクチン、インフラでけん制―APEC首脳会議
首脳らは会議終了後に声明を公表し、危機克服に向けて「安全で効果的、品質が保証されて手頃な価格のワクチンの公平な利用を加速すること」が重要との認識を示した。議長国ニュージーランドのアーダーン首相は会議に先立ち、バイデン氏と電話で会談。米国とともに「ワクチン確保に努力する」と語った。バイデン氏は大統領としてAPEC首脳会議に初参加した。
首脳会議では、菅首相が目前に迫った東京五輪の安全・安心な開催を説明。日本で製造するワクチン3000万回分をめどに供給すると改めて述べた。
21カ国・地域が参加するAPECの臨時での首脳会議開催は初のケース。定例の首脳会議は11月に開かれる。
中國が「APEC臨時会議」ワクチン外交で不評を脱コロナで世界が一致団結を崩そうと3300億円支援で良い面を得たいと支援表明したようだね。
具体的には、インドネシアがこれらの援助国で、日本や米国、豪州、シンガポールなどが共同で規制緩和を働きかけた。現在は、外国人が接種なしでも国内の大半の交通手段で移動し、国際線に搭乗することが可能だ。機関から資金借りた場合、その事業の実施は一つずつ段階を追って進めていく必要があり、翻って我が日本にとってはとんでもない負担となっていた。
世界は「東京五輪・パラリンピック」開催に無観客にする理由についても不思議じゃないと思います。
確かに未知の「武漢ウイルス」ではあるが、感染力が強いと言われる「インド株」が増えているが通常の例年通りインフルエンザ予防接種と同列に捉えれば一般の風邪と何ら違わないのに、小池都知事の根回しで自民党の二階幹事長・公明党の山口那津男代表や政府の分科会の尾身茂会長と報道されていませんが、無観客の了解を取っていたようです。
「俺っち」にも疑問が出ても欧米に比べ、日本における新型コロナウイルスによる感染症の死者数の圧倒的な少なさが各国で驚きを持って伝えられています。政府の分科会の尾身茂会長が、4連休や夏休み、オリンピックを前に感染対策の徹底を菅義偉首相に付きつけたと廻りの堀を埋められた。
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