2021年5月12日水曜日

資金力だけじゃない、途上国がインフラ整備で中国になびく理由

 今回は中國が「一対一路」の攻勢を賭けている事に注目!

採り上げた太平洋の島嶼諸国が既にアフリカ諸国や東南アジア諸国で債務の罠が判っていながら何故同じ中國の投資に靡いていくのかが解説されていました。

この問題を何時までも目を背けていけば、間違いなく世界の覇権を中國が握ってしまう!

危機感を持てない親中の人にも解説を願いたい!

中國の世界に対する安全保障の問題に結びついている事に憂慮せざるを得ない。

この問題では発展途上国に融資できる国が素晴らしいと思われているのでしょう。

問題が起きた時に当事国の二国間で解決しなさいと言うだけで「国際連合の拒否権」を持つ中國に対して何も制裁できずに、壊されて対応できない事が見え見えです。




  2021.5.11(火)

資金力だけじゃない、途上国がインフラ整備で中国になびく理由

途上国支援はもはや安全保障の問題、一帯一路に対抗する枠組みを

https://jbpress.ismedia.jp/articles/-/65214

 

塚田 俊三 世界情勢 中国 アジア・オセアニア

 



  

20195月、北京を訪問し習近平主席と握手するバヌアツのシャーロット・サルウェイ首相(当時、写真:新華社/アフロ)

 

(塚田俊三:立命館アジア太平洋大学客員教授)

 

「パシフィック・リム」とも呼ばれる太平洋地域は、米国、豪州、日本、中国等の経済大国に囲まれているが、これらの大国が、この海洋を「自国のバックヤード(裏庭)」と見るか、眼前に広がる「無限の可能性を秘めた大自然」と見るかによって、これらの国の太平洋地域との関わりは大きく異なってくる。

 

 そのどちらかと問われれば、残念ながら、これら列強は、この地域を、その裏庭とみなし、これをいかにして活用するか、そこからいかに多くの利を得るか、との観点から関わってきたと言わざるを得ない。勿論、この傾向は、近時における気候変動対策との関係から、変化の兆しもみられるが、すべての国が、この方向に切り替えている訳ではない。

 

太平洋地域へ急速に関与強めてきた中国

 

 各国が太平洋地域に強い関心を示すのは、太平洋が魚業資源・観光資源の宝庫であり、また海の回廊としての役割も果たしているからだ(外航海運の航路として、また、光ファイバー網の設置場所として)。

 

 特に、豪州とニュージーランド(NZ)にとってこの地域は、目の前に直接広がる広大な海洋資源であり、またそこに点在する島嶼国は、小さいとは言え、魅力ある市場を提供している。他方、これらの島嶼国はいまだ経済構造が脆弱で、政治体制も未成熟であることから、海外からの支援に頼らざるを得ず、先進国としての豪州とNZは、これら島嶼国に対し、以前から経済支援を実施してきた。

 

 さらに米国もこの地域に深く関与している。特に、自由連合盟約を結んでいるミクロネシア、パラオ、マーシャル諸島に対しては、防衛サービスを提供しているし、NZも、同じく、クックアイランドとニウエに有事の際は防衛サービスを提供することになっている。

 

 ところが、長く豪州、NZ、そして米国の庇護の下にあった太平洋諸国に、近年変化が起こっている。そう、中国が急速に進出し始めているのだ。

 

軍事転用可能な港湾・空港にも触手

 

 その範囲は、貿易のみならず、投資等の面にも及んできており、太平洋諸国に対する後見人を自認する豪州、NZそして米国は、この急激な進出に対し、強い警戒感を抱き始めた。

 

 確かに貿易の分野では、中国はすでに太平洋諸島国地域における最大の貿易相手国となっているが、それだけに留まらず、地域の社会経済に、より直接的な影響を及ぼす投資の分野でも増え始めている。

 

 当初中国の投資は、もっぱら鉱業、エネルギー、不動産等の分野に向けられていたが、最近は、インフラの分野が中心になりつつある。そしてその投資先には、軍事目的にも転用可能な港湾や空港も含まれ、豪州、NZ、米国は神経をとがらせていた。

 

 例えば、バヌアツのルーガンビル港の埠頭拡張工事は、中国の国営企業(上海建工集団)が請け負い、中国輸出入銀行の融資を得て2017年に完成したが、その埠頭の長さは360メートル、深さ25メートルと小国バヌアツでは考えられない規模の埠頭であり、それは中国海軍の艦艇の寄港を想定しているからであろうという憶測を生んでしまった。また、サモアの国際空港の拡張工事も、上海建工集団が請け負い、中国輸出入銀行の融資の下2018年に完成したが、それは現在の取扱能力を倍増させるとする大掛かりなものであった。また、パプアニューギニアは、そのロングラム基地(かつて豪州はここをその海軍基地として使用していたが、その後パプアニューギニアに譲渡)が老朽化したことから、その更新を考えていたところ、中国が2018年その改修に関心を示したので、豪州は急遽、パプアニューギニア側に援助を申し出、豪州の太平洋海洋安全保障計画の一環として、自ら改修工事を実施することとした*1

 

1 藤森浩樹「太平洋島嶼国への中国の影響力拡大と今後」https://www.asia-u.ac.jp/uploads/files/20200624162918.pdf

 

 このような中国のインフラ投資は、2013年の一帯一路の発表以後、急速に拡大し、それに伴い同地域における中国からの借り入れも急増し、特にトンガ、サモア、バヌアツの3か国は、その債務返済能力を遥かに超える金額を中国から借り入れており、昨年来3回にわたって開かれてきたG20 Debt Service Suspension Initiative においても債務の支払義務延伸対象国として認められた(ただ、2018年以降は、太平洋諸国の中国からの借り入れに対する警戒感が高まり、新規案件は、パプアニューギニアでの一件、バヌアツでの一件を除き、ストップしている)。

 

 この債務危機の問題は、IMFや米国の研究機関(Center for Global Development)等でも報告されている。当然のことながら、豪州、NZ、そして米国にとっても、見逃せない問題となっている。この問題については、稿を改めようと思うが、本稿では、なぜに中国が、豪州、NZ、米国が盟主として関与してきた太平洋諸島地域に、かくも急激に進出することができたのかの問題に焦点を当て考察してみたい。その主な要因としては、「経済的要因」と「社会的要因」の二つがあるが、まずは前者について述べたい。

 

中国の影響力増大する経済的要因

 

 太平洋諸国ではインフラ施設の整備が遅れており、かねてよりその整備の必要性が強く叫ばれてきた。この地域におけるインフラ施設の整備は、従来から主に豪州の、さらにはADB、世銀の支援を受けて行われてきた。しかしこれらの援助国・援助機関には、それぞれの優先分野があり、それにマッチしない場合は支援要請を出しても直ぐには受け入れてもらえず、またそこからの融資を得られたとしても、その実施に関わる手続きは複雑であり、プロジェクトを完成させるまでにかなりの時間を要した。

 

 具体的には、これらの援助国、機関から資金借りた場合、その事業の実施は一つずつ段階を追って進めていく必要があり(F/S調査・初期設計段階、詳細設計・建設段階など)、各段階ごとに異なる事業者の選定が求められる。しかも、これを国際競争入札にかけて行う必要があり、プロジェクト執行能力が弱い太平洋諸国にとってはとんでもない負担となっていた。

 

 ところが、これを中国に求めた場合、F/S調査・初期設計の段階から、詳細設計・建設段階、引き渡しに至るまで、全て中国国営企業が一括して引き受けてくれるし、手間暇かかる国際競争入札に掛けることも求められないので、要請を出してから施設の完成に至るまでの時間が短くて済むのだ。また、プロジェクトと直接関係の無い非公式な要望にも中国側は柔軟に対応してくれるので、太平洋諸島国にとってはまことに有難い存在として映る。

 

 もちろん、この一見便利な支援にも大きなリスクが隠されている。

 

コスト増の大きな要因となる様々な賄賂

 

 まず、見積価格の高さである。通常の案件であれば、コストの見積もりは工事を施工する建設業者は行えず、第三者である初期設計コンサルに委託して行う。それがわれわれの常識だ。このため、受注予定価格は勝手に膨らまされることはない。

 

 ところが、中国から支援を受けた場合には、受注予定価格の見積もりも建設業者が行う。そのため建設業者の都合の良い価格を設定できるのだ。当然のことながら、建設業者は見積もりに、利益を上乗せした工事費を含めることはもちろん、ビジネスを容易にするための種々の費用もあらかじめ含めておくことができる。結果的に、中国国営企業に発注する工事は高額となりがちであり、このような傾向は途上国で広く見られるものだ。

 

 具体例をいくつか挙げてみよう。中国が融資したケニアのモンバサ・ナイロビ間の鉄道敷設プロジェクトの見積価格は通常価格の3倍であったと報告されているし、モルディブの首都マリに建設された病院は、通常価格の2.6倍であったと言われている。さらに事業規模の大きなパキスタンの鉄道プロジェクト(ML-1)やマレーシアの鉄道プロジェクト(East Coast Rail Link)の場合も、過大な費用見積もりが問題となり、政府当局は、中国国営企業に対し、費用の見直しを再三にわたり求めた経緯がある。

 



  

20178月、マレーシアのクアンタンで行われたthe East Coast Rail Link projectの起工式で、列車モデルを前にポーズをとる人々(写真:新華社/アフロ)

 

 見積価格が多少高めに設定されることはそう珍しいことではないが、それが2倍にも3倍にも達することは極めて稀だ。いったいなぜ、中国企業ではそのようなことが頻発するのだろうか。それは、中国の国有企業の見積もりには、途上国では往々にして必要となる少額のtea moneygrease paymentと呼ばれる「retail bribery」(少額の賄賂)はもちろん、政権中枢の有力者や政治家に支払われるキックバックや選挙資金などの「wholesale bribery」(大口の賄賂)も含まれることが多く、特に後者の金額が格段に大きいからである。

 

高い金利を提示する中国国有銀行

 

 もちろん、このような高額の見積もりを行った当の国営企業は、当該工事を無償で施工してくれる訳ではない。これらの国営企業は、中国政府の「対外経済合作」の一環として、相手国からの請負事業としてでなければ、実施しえない。

 

 他方、途上国側はこうした高額のコストを払う余裕はない。その点は、国営企業もよく承知しており、資金が不足しているということであれば、必要な資金はアレンジしましょうと申し出る。途上国側が、ではお願いすると回答すると、この段階で、大使館を通じてアレンジされた国有銀行が出てくる。だが、そこで提示される金利は決して低くはない。譲渡性の高い融資を行うとされる中国輸出入銀行の融資ですら2%台、ましてや、融資実績の大きい中国国家開発銀行の融資に至っては6%台である。これは、ADBや世銀の金利より格段に高い(現在の貸付金利から言えば両行とも1%台)。要するに一帯一路の下でのインフラ整備が、他の国による経済協力と大きく異なるのは、それが中国の国営企業と国有銀行との二人三脚で進められるという点である。

 

 このように中国による融資案件は、結局は高いものにつきがちで、数年後のgrace period(猶予期間)が終了すれば、直ちに多額の定期返済義務が発生し、この段階でデフォルト(債務不履行)に陥る途上国が多いのだ。返済が滞れば直ちに、当該施設の没収、または物的返済への切り替え(ベネズエラでの原油に拠る返済、タジキスタンでの金鉱採掘権の獲得など)、あるいは施設利用権の中国企業への譲渡(スリランカの港湾施設の99年間リース)などが発動されることになる。「中国は当初からこれを狙っていたのではないか」と、憶測する向きすらあるが(いわゆる「債務の罠」)、あながち間違ってはいまい。

 

 ここで見たように、中国からの支援には多大のリスクが伴う。それでも途上国側の時の政権から見れば、工事の一括引き受け、早期完成の方が重要だし、いろいろな要望にも柔軟に対応してくれる*2。しかも債務の返済に迫られるのは返済猶予期間が終わる数年先のことになるので、目先の利益を優先させ、中国企業の提案に乗りがちになってしまうのである。

 

2 中国の柔軟な対応例:2016年バヌアツに対しNational Conference Centerを作り、無償で供与。また、2019年には、ソロモン諸島に対しMain Stadiumを作りこれも無償で供与。

 

中国の進出を可能にする「社会的要因」

 

 中国の急激な進出を可能にしたもう一つの理由――社会的歴史的要因――は、太平洋諸国の政治家が長年薄々と感じていた“欧米諸国からのプレッシャーから逃れ、独自の道を切り開きたい”とする気持ちである。先にも述べた通り、同地域では豪州、NZ、そして米国が、長らくその強い影響力を行使してきたが、その行使の仕方は、決して対等な独立国に対するものではなく、“上から目線”の、時に高圧的とすら感じさせるものであった。

 

 太平洋諸国は、このような対応に対し表立って不満を述べたりはしないものの、胸の中では反感を抱いており、独立国としてのdignity(尊厳)を保ちたいとの気持ちを強く持っていた。太平洋諸国はいつの間にか欧米諸国と距離を取る道を探し求めるようになっていた。当初は、新たなパートナーとして日本に期待もしたのだが、日本は独自のアジア的アプローチを示すことはなく、欧米諸国に近い路線を取り続けるのみだったので、彼らの新たなパートナーとはなりえなかった。そこにスッと現れたが中国だった。

 

 中国は、明らかに欧米諸国とは異なるアプローチをとり、政府部内に深く食い込んでいった。その一つの方法が、(他の途上国に対してもよく用いる手法ではあるが)政府高官・政府職員を対象とした「研修」だ。

 

 中国は、太平洋諸国の行政官を毎年多数、本国に招き、研修を実施しているが、これら行政官に対しては、各地で視察旅行を実施する等、手厚く対応する。このような厚遇は、太平洋諸国の職員からすれば極めて意外な対応に映る。なぜなら、豪州やNZで研修を受けた場合には、太平洋諸国の政府職員たちは「後進国から来た研修員」とみなされ、決して平等に扱われることはなかったからである。

 

 このような対応の違いは、心象面で大きな違いをもたらす。特に、昔ながらの首長国的風土を残す島嶼国においては、相手の威厳を尊重することは極めて重要であるが、欧米諸国はこのような点には一切配慮せずに、機械的に研修を実施するのみなのである。だが、中国はこのような心理的側面にも配慮してくれる。そこに太平洋諸国の行政官は大いに感激するのである。

 

日本なら「官民癒着」でも、中国では「重要な連携」

 

 中国の太平洋諸国政府への食い込みは、研修旅行のみならず、様々な形で行われてきたが、こうした業務の実施に中心的な役割を担うのが現地の中国大使館だ。

 

 例えばインフラ支援なら、大使館は中国の国営企業と緊密に連携を取りながら現地のカウンターパートとの交渉を手助けするし、太平洋諸国が資金を必要とすれば、すぐに中国の国営銀行と連絡を取り、話し合いの場を設ける。

 

 これが日本大使館ならば、このようなアレンジをすることに極めて慎重になるだろう。ましてや特定企業の推薦を行う様なことは「官民癒着」と批判される恐れがあるので、めったにすることはない。逆に中国では、これらの活動は「重要な連携プレイ」であり、これを円滑に行うことが現地大使館の任務なのである。特に中国では、2008年以来、“走進去”の名の下に国有企業の海外市場への進出を促すことが国策とされており、現地大使館は本国の商務部と緊密な連携を取りながらこれを側面から推進してきた。このような大使館の現地での活動の違いが「機動力の差」として、ひいては「政府中枢への食い込み方の差」として現れるのだ。

 

 もっとも、このような中国の太平洋諸国への食い込みは、必ずしも太平洋諸国の国民各層から広く歓迎されていた訳ではない。中国は政府の一部有力者には深く食い込んでいるが、一般庶民の間ではむしろ強い反感を生んでいるのである。

 

庶民からは歓迎されない中国人労働者と中国人小売商

 

 その理由の一つは、中国からのインフラ投資の増大に伴う中国人技術者の流入増であるが、それだけでなく建設労働者も大量に入ってくるからである。また、近年は、中国人の小売業への進出も激しく、庶民にとって都市部において身近な生活用品を買おうとすると、どうしても中国人が経営する店舗で買わざるをえない状況が生まれていた(例:マーシャル諸島の首都マジェロでは小売りの3分の1が中国人によって営まれている)。

 

 しかも、この急増する中国人小売商は、英語を使いこなせるような層の人達ではなく、太平洋諸国に送り込まれる前に本国で現地語を叩き込まれてきたような地方出身の小売商であったりする。現地での商売の仕方も、決して洗練されたものではなく、中国風のやり方が前面に出がちであり、太平洋諸国の国民の間に反中国人感情が芽生えるのも無理はない。

 

 それでも、中国政府は、そのような庶民の受け止め方や一般的なイメージなどはあまり気にしていない。中国政府にとって重要なのは、相手国の有力者、権力者との関係をしっかりと掴んでおくことであり、そこさえ抑えておけば、現地でのディールも着実に進めることができる。要は、実を取れるかどうかであり、その手段が多少不規則な資金の授受であっても、あるいは裏取引であっても構わない。結果がよければそれでいいのである。欧米諸国のように、透明性とかフェアネスといった、彼らからしてみれば「ナンセンスなこと」は言わないのである。

 

 このような徹底したプラグマティズム――より正確に言えばマキャベリズム――が、欧米諸国の牙城である太平洋諸国にかくも短期間に食い込めたもう一つの理由である。

 

生半可な国際協調だけでは一帯一路に対抗できない

 

 こうした中国の進出は、パキスタン、スリランカ、カンボジア、その他のアジア諸国においては、より露骨な形で展開されており、その範囲はインフラ投資に限らず、デジタル技術、さらには、軍事面にも及んでおり、自由主義陣営は強く警戒し始めている。

 

 中国のこうした「猛攻」を見て、この地域で強い影響力を有してきた米国と日本は、「自由で開かれたインド太平洋構想」の下、相互に連携し、一帯一路に対する対抗策として「質の高いインフラ整備とこれに対する途上国融資の拡充」を打ち出した。このインド太平洋構想には、豪州、インドも参加したが、欧州諸国もその参加に関心を示しており、そうなると一応は「中国vs.日米豪欧印」の構図が出来るわけだが、この日米欧印の連携が、中国の一帯一路の進展に楔を打ち込めるほど強力なものになるかどうかは極めて疑わしいと言わざるを得ない。

 

 なぜか。実は、途上国が中国のインフラ支援になびいていくのは、資金の不足が原因ではないからだ。中国から支援を受ければ、国際入札などの面倒な続きを踏む必要もない。中国の国有企業が、一から十まで一切合切やってくれる。そのため完成までにかかる期間が短い。いろいろな無理も聞いてくれる。そういったことが理由なのだ。

 

 日本や米国、欧州からの資金的支援がいかに潤沢であっても、その手続きが複雑であり、完成までに時間を要するのであれば、途上国は見向きもしないであろう。

 

 もっと言えば、中国の一帯一路構想は、もはやインフラ整備といったハードウエアだけではなく、5G、監視技術といった「デジタル・シルクロード」の構築に力を入れて始めている。このような動きは途上国側にとって、特に強権国家からは大いに歓迎される。

 

 そこに日本や米国が「質の高いインフラ」などという曖昧な言葉をいくら発しても、途上国には響かないだろう。中国はその先を行っている。中国の急激な進出を食い止めるためには、従来からの延長線上ではなく、全く新しい観点からの施策を打ち出す必要がある。

 

旧来の支援方式は捨てよ

 

 例えば日本がインフラ分野に食い込んでいくためには、大胆にリスクを取り、施設建設から、運営まで一貫して引き受けるBOTBuild-Operate-Transfer=民間事業者が公共サービスに関わる施設を、自分で調達した資金を使って建設し、20年から30年間運営し、そこから上がる事業収益によって当初の投資資金を回収し、その後、政府に移管する仕組み)や、BOTをベースとしながら一部リスクを政府がカバーするPPPPublic Private Partnership)のような方式を前面に打ち出していくべきだろう。

 

 従来、我が国は途上国へのインフラ支援は、官ベースで低利融資を売り物に進めてきた。この方式は、手続きが煩雑で時間もかかるうえ、相手国政府から債務保証を求めざるを得ず、途上国から歓迎されなかった。

 

 インドネシアでの高速鉄道プロジェクトでの「日本敗退」が国内に大きな衝撃をもたらしたことがあるが、実はこのときの最大の敗因も、わが国が相手国に政府保証を求めたからであった。

 

 他方、中国はインドネシア政府からはその保証を求めず、BOT方式で、企業に全てリスクを負わせる方式を提示し、その受注を勝ち取ったのだ。

 

 確かに、BOT/PPPベースでインフラ整備を進めようとすると、大きなリスクを伴う。しかし、だからといってこれを避けるべきではなく、これらのリスクは政治リスク保険(political risk guarantee)や商業リスク保険(partial risk guarantee)等によってカバーすればいい。オール・ジャパンの掛け声の下、JICAの低利融資で売り込むといった方法は、インフラの分野ではもはや通用しない。システムの高度化、情報化が進むインフラの分野では、民間企業を先頭に立て、大胆にリスクを取り、建設のみならず、運営もカバーする方式に一刻も早く切り替えていく必要があるのだ。

 

 途上国へのインフラ支援は、中国の影響力拡大を抑えるための安全保障という側面が強まっている。日本は今までの途上国支援の既成概念を捨て、一刻も早く新しい枠組みを作り、これを進めなければならない。

 

塚田 俊三のプロフィール

立命館アジア太平洋大学客員教授。運輸省(現国土交通省)にて16年間、政策担当キャリアとして勤務した後、世界銀行に移り、12年間運輸プロジェクトのタスクマネジャー等を務めた。その後アジア開発銀行に移り、大型インフラプロジェクト開発のタスクマネジャーを8年間務める。20084月より、立命館アジア太平洋大学に移り、教鞭をとる。 専門は、BOTPPPPFI等を活用した社会基盤開発、プロジェクトファイナンス、国際経済、開発経済、環境経済、カーボンクレジット。取得学位は、工学博士(東京大学)、経営学修士(コーネル大学)、教養学士(東京大学)。

 

中國とこれらの発展途上国の経済発展に、なぜ中國を先に世界第二の経済大国にしてしまったのか?

中國が経済発展をすれば民主的になると思い込んだ結果が現在ですね。

アフリカ諸国や太平洋の島嶼諸国の途上国が中國のインフラ支援に靡(なび)いていくのは、資金の不足が原因ではないからだ。自由世界での借り入れが煩雑に思える位に中國から支援を受ければ、国際入札などの面倒な続きを踏む必要もない。中國の国有企業が、一から十まで一切合切やってくれる。そのため完成までにかかる期間が短い。いろいろな無理も聞いてくれる。そういった事が理由なのだ。

具体的には、これらの援助国、機関から資金借りた場合、その事業の実施は一つずつ段階を追って進めていく必要があり(F/S調査・初期設計段階、詳細設計・建設段階など)、各段階ごとに異なる事業者の選定が求められる。しかも、これを国際競争入札にかけて行う必要があり、プロジェクト執行能力が弱い太平洋諸国にとってはとんでもない負担となっていた。

 

 ところが、これを中國に求めた場合、F/S調査・初期設計の段階から、詳細設計・建設段階、引き渡しに至るまで、全て中國国営企業が一括して引き受けてくれるし、手間暇かかる国際競争入札に掛けることも求められないので、要請を出してから施設の完成に至るまでの時間が短くて済むのだ。また、プロジェクトと直接関係の無い非公式な要望にも中国側は柔軟に対応してくれるので、太平洋諸島国にとってはまことに有難い存在として映るので従来の生半可な国際協調だけでは一帯一路に対抗できない!

 

中國の一帯一路構想は、もはやインフラ整備といったハードウエアだけではなく、5G、監視技術といった「デジタル・シルクロード」の構築に力を入れて始めている。このような動きは途上国側にとって、特に強権国家からは大いに歓迎される。

 

そこに日本や米国が「質の高いインフラ」などという曖昧な言葉をいくら発しても、途上国には響かないだろう。中國はその先を行っている。中國の急激な進出を食い止めるためには、従来からの延長線上ではなく、全く新しい観点からの施策を打ち出す必要がある。

 

日本や自由世界の手続きが煩わしい事も一因でアフリカや島嶼諸国における決定権者への賄賂が、功を奏して日本等の貸付金利を遥かに超えた金利で返済に苦慮した時が中國の狙い目で長期利用権や取り上げる事も厭わない。

 

日本は、今までは中國に進出する条件に合弁会社(技術や資金を提供)を作ることで最終的に撤退するときに合弁会社に全てを取られることで丸裸になって放り出されることに為っているのが常でした。日本から資金を企業が自前で投資しても、アフリカや島嶼諸国が同じ様に中國から資金を獲得しも結果は丸裸!

 

日本なら「官民癒着」でも、中國では「重要な連携」として、賄賂付けも正当化するので「俺っち」と「父つぁん」の懸念を払拭して欲しい。

中國の考えと法治世界での対応にかくも、法に基づく手続きに素早い決定と民主的手続きに、確かに当該国の先進国に取り残されたインフラ環境が追い付かない苦境と決定にも影響している。その結果、中國の世界を丸ごと覇権主義を容認することに為る。

 

「武漢ウイルス」も同じ様に終息が有って欲しいし、期間が判らないが早く終息が有って欲しい。幾ら言っても聞かない中國に世界が協力して潰さない限り終わる事がない。

 

中國が各国に駐在している大使の言葉の発表には本国の意向を無視して発信するようなことは無いが、中國が「武漢ウイルス」による感染状況をも隠蔽して人権問題などでは、いくら日米豪印の「クアッド」間の協力強化を叫んでも、日本などは乗ってこないことを知っているのだ。見っとも無いが!

 

このように南シナ海での中國の傍若無人な行動で世界が中國共産党のトップに依る蓄財を見て国民の出来る方法で次のような著作権の意味も分からず、当たり前に廻りの連中を押しのけて安い金額で投稿や搾取を行っている。

バイデン大統領の側近のブリンケン国務長官が幾ら強硬な発言をしていても、習近平とバイデンの裏工作が在りはしないか更に注目をして行かないといけない!

 

「武漢ウイルス」でピークに未だ終息の目安を世界は掴んでいない。当然諸国が自国に「武漢ウイルス」が入って来て、未だ目途が付かないと大変ですよね。中國の人権問題や軍事行動も隙をついて現在進行形の内政だと言って事実づくりに世界へ発信!自由世界はこの問題で一致協力して立ち向かっているのに日本の発言に中國を非難する事がない。

何故なのか?与党の自公連立政党や野党の国会質疑をこの問題では声もない。ほんの一部の議員の強硬発言があるだけで国会での取り纏めが無い事に「父つぁん」も国民として情けない!

 

「信頼性がない」のはいつものことであるがそこで、「俺っち」も中國の冬季北京オリンピック開催を決行して強い中國を打ち出すのではないでしょうか、批判される事を覚悟しても開催でしょう。

 

報道機関と欧米諸国が悲観的な開催が出来ないのではとの疑念を「武漢ウイルス」でIOCのバッハ会長などが主張する「東京五輪は人間がウイルスを打ち負かした証拠になる」との声を発しているが、過去の例として197912月に起こったソ連軍のアフガニスタン侵攻に対する制裁措置として米国をはじめとする西側諸国がボイコット。

同じ様に北京冬季オリンピックのボイコット運動があっても不思議じゃない。

全人代を主導した習近平国家主席の発言が人道問題を世界が内政にチョッカイを出していると同時に、これからは2045年までに世界の覇権を握ると計画を言っていた。

 

中國が自国の行動に「武漢ウイルス」で混沌としている事を逆手にとっての「人類運命共同体」とも言っていました。

しかし心地よい言葉の真意は「自国への隷属」が読み取れると日本の安全保障に携わっていた識者の人々が解説しています。

その様な時に米中の外交トップによるアラスカ州で部門トップによる会談が行われました。

米国の外交トップの国務長官のブリンケン長官が中國の外交トップの楊潔篪氏に全世界が「目撃」したのは、会談冒頭の楊潔篪国務委員、王毅外相とアントニー・ブリンケン国務長官、ジェイク・サリバン大統領国家安全保障担当補佐官との間で繰り広げられた舌戦だった。

 

現在の中國が行っている覇権行動で人権問題を採り上げたことに対して相手の中國の楊潔篪氏が、中国の内政問題なので介入するなと声高に国務長官に対して恫喝する事が我が日本の外務省も外務大臣も言えないでしょう。

中國人のこの様な行為や共産党に依る強圧的行動の報道規制、言論統制、政治活動の制限、選挙権の不在、(天安門事件などの)歴史的過ち、特権階級の独占・腐敗、党による司法の支配である。

 


「俺っち」と「父つぁん」の懸念を払拭して欲しい。

「武漢ウイルス」も同じ様に終息が有って欲しいし、期間が判らないが早く終息が有って欲しい。幾ら言っても聞かない中國に世界が協力して潰さない限り終わる事がない。

 

中國が各国に駐在している大使の言葉の発表には本国の意向を無視して発信するようなことは無いが、中國が「武漢ウイルス」による感染状況をも隠蔽して人権問題などでは、いくら日米豪印の「クアッド」間の協力強化を叫んでも、日本などは乗ってこないことを知っているのだ。見っとも無いが!

 

このように南シナ海での中國の傍若無人な行動で世界が中國共産党のトップに依る蓄財を見て国民の出来る方法で次のような著作権の意味も分からず、当たり前に廻りの連中を押しのけて安い金額で投稿や搾取を行っている。

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