中國ウォチャーがバイデン新大統領の思いを次の様に記事にしていましたよ。
石垣市議会で尖閣諸島の字名(行政区画上の単位名)を「字登野城」から「字登野城尖閣」に変更する議案が、沖縄県石垣市の市議会で可決された。議案は市から昨年(2020年)6月定例会に提出され、6月22日の本会議で自民・公明両党などの賛成多数で決まった。
中央の国政で政界を仕切っている自民・公明の与党も支援しなさいよ。
何だか地方の自治体が一生懸命手を打っているのに政府が何時まで経っても中國に忖度しているのかさっぱり判りませんが石垣市の石垣市尖閣の調査や表札設置?の許可も出しません?何故なのでしょう。
中国海警が襲来しても弱腰バイデンは尖閣を守らない
東アジア「深層取材ノート」(第75回)
https://jbpress.ismedia.jp/articles/-/64129
世界情勢 アメリカ 中国 安全保障
2月16日、ミルウォーキーでの対話集会に参加したバイデン大統領(写真:AP/アフロ)
ジョー・バイデン政権が発足してから、20日で1カ月になるが、具体的な外交政策は、いまだ見えてこない。
アメリカ国内の新型コロナウイルス対策で多忙を極めているのは理解できるが、アメリカの「不在中」に、中国は周辺諸国・地域に触手を伸ばしている。16日には、機関砲らしきものを搭載した中国海警の「海警1301」と「海警6303」の2隻が、尖閣諸島周辺の領海に侵入した。2月1日に海警法を施行し、この法律に則って、ついに殺戮兵器を携えて尖閣海域に現れたことで、日中間の緊張は、また一段階アップした。
中国の春節にタイミング合わせた電話会談
そんな中、バイデン大統領は、ワシントン時間の10日夜、北京時間の11日になって、ようやく習近平主席との電話会談に臨んだ。
日本では、「米中、経済・安保で応酬 バイデン氏 香港・台湾に懸念」(2月12日付日経新聞)などと、あたかもバイデン大統領が習主席に強硬姿勢で向かっていったような報道がなされている。だが、ホワイトハウスHPのブリーフィングページを見ると、冒頭で、「大統領は春節(旧正月)を前に、中国の人々への挨拶と願いを共有しました」と書かれている。
実際、中国では12日が春節で、米中首脳会談を行った11月は大晦日だった。中国側は、「アメリカ大統領が中国に向けて春節の挨拶の電話をかけてきた」というふうに仕向けたのである。
そもそも、中国の大晦日に電話会談をセッティングしたこと自体、バイデン政権の弱腰ぶりが感じられてならない。中国に対して、香港や新疆ウイグルの人権侵害や、東シナ海・南シナ海での挑発行為などを強調するなら、中国の正月休暇中だろうが構わず電話するくらいの気概がほしい。
バイデン政権のアジア戦略を示すと目された論文の中身
米国務省のアジア太平洋担当国務次官補もいまだ不在な中で、バイデン政権のアジア担当の司令塔になると目されているのが、バラク・オバマ政権時代に国務省アジア太平洋担当国務次官補を務めたカート・キャンベルNSC(国家安全保障会議)インド太平洋調整官である。
キャンベル調整官は先月、米外交誌『フォーリン・アフェアーズ』に、「アジア秩序をいかに支えるか――勢力均衡と秩序の正統性」という論文を発表した。この論文は、同じくNSCの中国担当シニアディレクターに就任するラッシュ・ドーシ・ブルッキングス研究所中国担当ディレクターとの共同執筆である。日米の外交関係者たちの間では、バイデン政権のアジア政策の骨子になるものとして、大きな注目を集めている。
私も全文を読んだが、結論から先に言えば、すっかり幻滅してしまった。
まずこの論文は、ヘンリー・キッシンジャー元米国務長官の博士論文への言及から入る。1814年9月から翌1815年6月にかけて、ウィーン会議が開かれ、ナポレオン戦争後の欧州秩序を定めた。以後、「ヨーロッパで第一次世界大戦まで1世紀にわたって『長い平和』が築けた成果は、現在のインド太平洋にも応用できる」と、論文では主張している。
具体的には、「イギリス外相のカッスルレー子爵が取りまとめたパワーバランスと、オーストリアのクレメンス・メッテルニヒ外相が確立した秩序の正統性」である。そこで、現在のインド太平洋戦略として、「(1)パワーバランスを維持し、(2)地域国家が正統性があると認める秩序を構築し、(3)この二つを脅かす中国に対処するため、同盟国とパートナーの連携をまとめる」のだという。
基本的な疑問として、19世紀のヨーロッパのパラダイムが、21世紀のアジアに適用できるのかと思ってしまう。それについては、「台頭する国家、大国のライバル関係、紛争の火種、ナショナリズムの台頭、自由主義と権威主義の衝突、脆弱な地域制度という問題をともに内包している」と理屈づけている。
だが、もうこの辺りで、私はついていけなくなった。現在の中国を、ナポレオン麾下のフランスに見立てること自体、やはりナンセンスだからだ。そもそも中国からすれば、4000年の歴史を持つ自国を中心としたアジアの秩序体制の中に、250年も歴史がない国(アメリカ)がやって来て、秩序を搔き乱しているという発想なのだ。そのため、歴史的背景からしても、現在のアジアと、19世紀初頭のヨーロッパは比較できない。かつ中国は、キリスト教国家でもない。
在日米軍、在韓米軍を削減し、東南アジアやインド洋の防衛へ回す考えか
唯一、納得できたのが、次のくだりである。アジアの秩序がおかしくなってしまった原因として、中国とともに、ドナルド・トランプ前米大統領を挙げているのだ。「ドナルド・トランプはこの地域のオペレーティングシステムを支えるすべての要因を緊張させた」「トランプは地域の多国間プロセスと経済交渉に参加せず、中国が秩序の構成と正統性を与えるルールを書き換えるのに適した環境を与えた」。それでもその後に、「いまやこの地域は19世紀のヨーロッパのような状況にある」と付け加えているところは、やはり「?」である。
論文ではその後、「こうした(中国の)脅威に対して、アメリカは中国の冒険主義を抑止することを目的にした対策を取る必要がある」として、具体的に2点挙げている。一つは、「相対的に安価な非対称戦略(無人攻撃機など)を通じて、中国の行動を抑止する」こと。もう一つは、「アメリカの前方展開軍は維持すべきだが、東南アジアやインド洋にアメリカ軍を分散配置するために他の諸国と協力する」ことである。
この二つ目の部分は、サラリと述べているが、在日米軍や在韓米軍を削減し、その分を東南アジアやインド洋に回すとも受け取れる。そうだとしたら、日本に中距離核ミサイルを配備するという計画とも合致してくるが、日本としては今後、注視していかねばならないだろう。
あまりに楽観的すぎる中国観
一方、経済問題については、「アメリカがセンシティブな産業を国内に戻し、米中経済の『managed decoupling』(管理された分断)を模索し続ける」としている。「地域諸国はこの流れを警戒するかもしれないが、ワシントンが『サプライチェーンを中国から分断するにしても、それは多くの場合、地域経済内の別の国に移動させることを意味し、むしろ新たな成長のチャンスがもたらされる』と保証すれば、(地域諸国も)安心するはずだ」と述べている。
だが、日本企業はそうやって中国からミャンマーに拠点を移したものの、2月1日の軍事クーデターに直面して、泡を吹いているのではないか。実際、この論文でも、「中国の台頭に直面するインド太平洋諸国は、『独立を維持するためにアメリカの支援を求めているが、(中略)米中という二つの超大国のどちらかを選ぶことは強制されたくない』と考えている」と記している。
さらに、論文はこう続けている。
「アメリカとそのパートナーにとって、よりよい選択肢は、『いくつかの重要な条件を満たす、平和で競争力のある地域の存在は、中国に恩恵をもたらす』と、北京を説得することだろう。ここで満たすべき条件とは、『地域秩序内に北京の居場所を確保し、秩序を支える主要国際機関における中国のメンバーシップを認め、中国がルールに則して行動することを前提に、予測可能な通商環境を提供し、気候変動対策、インフラ整備、コロナ対策を巡る協調から恩恵を受ける機会を、ともに共有していくこと』だ。
秩序への中国の控え目な支持も、地域の成功に大きな役割を果たしてきた。今後とも、中国の一定の関与は、重要であり続ける」
私は、このくだりを読んでいて、ナポレオン戦争後のウィーン会議よりも、ナチスドイツの台頭を前に1938年9月に結んだミュンヘン協定を思い起こした。バイデン政権は、ネヴィル・チェンバレン英政権のようなものではないのか。
『ファクトで読む米中新冷戦とアフター・コロナ』(近藤大介著、講談社現代新書)
ともあれ、論文の結論としては、以下のようなものとなっている。
「ワシントンはシステムを強化するために他国と協力し、北京が生産的に秩序に対して関与するインセンティブを与え、一方で中国が秩序を脅かす行動を取った場合の罰則を、他の諸国とともに考案しておく必要がある。(中略)システムのパワーバランスと正統性を共に維持するには、同盟国やパートナーとの力強い連帯、そして中国の黙認と一定の応諾を取りつけておく必要がある」
何という楽観主義、そして何と中国を性善説で捉えていることだろう。
この論文を読んだ私の結論は、やはり尖閣諸島は日本自身で守っていかねばならないということだ。少なくとも軍事的に、バイデン政権を頼るのは禁物だろう。
近藤 大介のプロフィール
ジャーナリスト。東京大学卒、国際情報学修士。中国、朝鮮半島を中心に東アジアでの豊富な取材経験を持つ。講談社『週刊現代』特別編集委員、『現代ビジネス』コラムニスト。近著に『未来の中国年表ー超高齢大国でこれから起こること』(講談社現代新書)、『二〇二五年、日中企業格差ー日本は中国の下請けになるか?』(PHP新書)、『習近平と米中衝突―「中華帝国」2021年の野望 』(NHK出版新書)、『ファーウェイと米中5G戦争』(講談社+α新書)、『中国人は日本の何に魅かれているのか』(秀和システム)、『アジア燃ゆ』(MdN新書)など。
中山義隆市長は本会議後に自身のSNSを更新し、〈行政事務の効率化〉を強調。報道関係者にも「政治的な意図はない」と述べたが、台湾の「中央社」の日本語サイト6月15日付記事は、中山市長が台湾外交部(外務省)に「中國をけん制する意味がある」と説明したと報じている。
それにしても尖閣諸島の字名変更で中國が石垣市に抗議 加藤官房長官「全く受け入れられない」と抗議しているのに日本政府が反論をするには昨日ですよ?遅いと思いませんか?
日本の政府はやはり尖閣諸島は日本自身で守っていかねばならないということですが少なくとも軍事的に、バイデン政権を頼るのは禁物だろう。
中國の海警法でチョッカイを出す時に武器の使用や尖閣の島に建造物が建てられた場合ぶち壊す事も可能だと言うじゃないですか!
中国海警局の武器使用:日本の問題点と必要な法整備
ガラパゴス化した日本の武器使用基準では中国の侵略を許す
https://jbpress.ismedia.jp/articles/-/64118
中国 安全保障
中国海警局の武器使用に対応するため、自衛隊や海上保安庁の武器使用基準を国際基準に則って改正する必要がある(写真は海上自衛隊の訓練、2021年1月29日、海自のサイトより)
「ガラパゴス化」している日本の武器使用基準を世界標準に改正すべきである。さもなくば、中国の侵略的行為を阻止できないであろう。
2月1日、中国海警局に武器使用を認める権限などを定めた中華人民共和国海警法(以下、海警法)が施行された。
この時、各種メディアは次のように報道した。
「同法律は、中国の管轄下にある海域に違法に入った外国の船舶を強制的に排除する権限などを盛り込んだうえで、違法な活動を行う船が停船命令や立ち入り検査に従わない場合は、武器の使用を認めると規定している」
「このため、海警局の巡視船が、外国の公船(米軍艦艇や海保の巡視艇など)に対して武器を使用するようなことがあれば、偶発的なトラブルから軍事衝突に発展することが懸念される」
筆者は、上記記事の「中国の管轄下にある海域」を「中国の領域」に読み替えさえすれば、海警法の武器使用基準は、世界標準の武器使用基準と同様であると見ている。
ただし、海警法では管轄海域が定義されていないことから関連条項は国際法違反であると指摘されている。
さて、今、中国公船による尖閣諸島周辺の日本領海への侵犯行為を巡り、「グレーゾーン事態」(注1)対処が喫緊の課題となっている。
「グレーゾーン事態」に対して、現行法では、海上においては海上保安庁が、陸上においては警察が対応することになっている。
海上保安庁や警察では手に負えない事態が発生した場合は、内閣総理大臣が自衛隊に対して海上警備行動や治安出動を命じることができる。
しかし、日本の自衛隊・海上保安庁・警察(以下、自衛隊等)の武器使用基準は、憲法上の判断から数々の歯止めや制約が設けられている。
このため、「海上警備行動」または「治安出動」を命じられた自衛官の武器の使用については、「警察官職務執行法第7条」が準用され、相手に危害を与えるような武器の使用は、①正当防衛・緊急避難、②重大凶悪犯罪の既遂犯、③逮捕状等の執行の場合を除き認められていない。
日本の「警察官職務執行法第7条」に比べて、テレビのニュース映像で我々が目にする外国の警察官の武器使用基準は、これよりも相当緩やかであるように見える。
ところで、「海警法」が施行されたことを受け、「自民党内では武力行使に至らない『グレーゾーン事態』に対応できる領域警備法の新設のほか、自衛隊の積極投入や海保の権限強化などを求める声もある」と、報道されている。
筆者は領域警備法の整備も重要であるが、ぜひ自衛隊等の武器使用基準を世界標準に改正してほしいと願っている。
本稿は、日本の武器使用基準の問題点を明らかにすることを目的としている。
(注1)グレーゾーン事態とは「純然たる平時でも有事でもない幅広い状況を端的に表現したものである(出典:防衛白書)」。一般に、グレーゾーン事態では漁民を装った国籍不明の武装集団が日本の離島に上陸し、不正占拠した場合で、警察や海上保安庁だけで対応できないおそれのある事態を想定している。
1.「武器使用基準」改正の変遷
1978年7月、自衛隊トップ、統合幕僚会議議長だった栗栖弘臣氏が「超法規発言」で事実上解任された。
「敵の奇襲攻撃を受けた場合、首相の防衛出動命令が出るまで手をこまねいているわけにはいかず、第一線の部隊指揮官が超法規行動に出ることはあり得る」とメディアに発言したことが問題となり、金丸信防衛庁長官(当時)に更迭されたのである。
また、1998年、麻生幾氏が小説『宣戦布告』を発表した。自衛隊の治安出動における武器使用の問題点を赤裸々にした。簡単なあらすじを紹介する。
「日本に上陸した北朝鮮工作員の掃討に出動した自衛隊の部隊が突如武装工作員による奇襲を受け、多くの死傷者を出してしまう」
「現場から対戦車ヘリや迫撃砲、手榴弾の使用許可が上申されるが、過剰防衛との判断から許可は下りない」
「警察比例の原則や現行法では、自衛隊は反撃することもままならなかったのである」
この小説は、有事関連3法の成立に大きな影響を及ぼしたと言われている。以上の2つの大きな出来事があっても自衛隊の武器使用基準は改正されなかった。
(1)自衛隊
ところが、自衛隊が国連平和維持活動(以下、PKO)に参加するなど活動範囲が拡大するに伴い、国際平和協力法の武器使用基準が抑制的であるため、実際の現場で隊員が行動の制約を受けたり、生命や身体の危険にさらされたりした事例が生じてきた。
このため、国際平和協力法の武器使用基準が幾度か改正された。
国際平和協力法が制定された当時は、国際平和協力業務に従事する自衛官は、自己または自己と共に現場に所在する他の自衛隊員、国際平和協力隊の隊員の生命または身体を防衛するためやむを得ない必要があると認める相当の理由がある場合には、その事態に応じ合理的に必要と判断される限度で武器を使用することができる旨規定されていた。(同法第24条)
この武器使用基準については、PKO派遣の経験を踏まえ、逐次、以下のような改正が行われた。
① 武器の使用は現場の上官の命令によること(1998年6月)
②「自己の管理下に入った者」の防衛を可能とすること(2001年12月)
「自己の管理下に入った者」とは、
・不測の攻撃を受けて自衛官と共通の危険にさらされたときに
・その現場において
・その生命または身体の安全確保について自衛官の指示に従うことが期待される者をいい、同一の場所で活動する他国のPKO要員についても、上に述べた要件を満たす場合は、防衛対象となる。
③自衛隊の武器などを防護するための武器使用を可能とすること(2001年12月)
④宿営地から「駆けつけ警護」(注2)に向かう途中、任務を妨害する勢力を排除するためにも、武器使用を可能にすること(2016年3月)
上記は国際平和協力法の改正であるが、後述する海上保安庁の武器使用基準の改正(2001年)に伴い、「海上の警備行動」または「治安出動」を命じられた自衛官の武器使用基準が改正され、海上保安庁法第20条第2項の規定が準用されることとなった。
(注2)「駆け付け警護」は、PKOの文民職員やPKOに関わるNGO等が暴徒や難民に取り囲まれるといった危険が生じている状況等において、施設整備等を行う自衛隊の部隊が、現地の治安当局や国連PKO歩兵部隊等よりも現場近くに所在している場合などに、安全を確保しつつ対応できる範囲内で、緊急の要請に応じて応急的、一時的に警護するものである(出典:防衛白書)。
(2)海上保安庁
他方、海上保安庁法の武器使用基準は、1999年の能登半島沖不審船事件を受けて、2001年に改正された。
改正前の海上保安庁法では、海上保安官等の武器の使用については、警察官職務執行法第7条の規定が準用され、犯人の逃走の防止または公務の執行に対する抵抗の抑止等のため必要なときは武器使用が認められていた。
ただし、人に危害を与えることが許容されるのは、次の場合に限定された。
①正当防衛・緊急避難
②重大凶悪犯罪の既遂犯
③逮捕状等の執行
不審船は、単に逃走を続けるだけで、その外観等からだけでは船内でどのような活動が行われているか必ずしも確認できない。
そのため、この①~③の要件を満たすとは言えず、不審船を停船させるための船体に向けた射撃は、人に危害を及ぼす可能性が否定できないことから、事実上行えなかった。
そこで海上保安庁は、2001年11月に、繰り返し停船を命じても応じず、なお抵抗または逃亡しようとする船舶に対し、海上保安庁長官が一定の要件に該当すると認めた場合には、停船させる目的で行う射撃について、人に危害を与えたとしても違法性が阻却されるよう、海上保安庁法を改正した(第20条第2項)。
海上保安庁長官が認める要件とは次の4項目である。
①外国船舶と思料される船舶が我が国領海内で無害通航でない航行(国際法に違反する航行)を行っている。
②放置すれば将来繰り返し行われる蓋然性がある。
③我が国領域内における重大凶悪犯罪の準備のためとの疑いを払拭できない。
④当該船舶を停船させて立入検査をしなければ将来の重大凶悪犯罪の予防ができない。
なお、次に述べる九州南西海域不審船事案では、不審船が確認されたのがわが国領海外の排他的経済水域であったので、この改正規定は適用されなかった。
2001年12月22日、海上保安庁は九州南西海域における不審船情報を防衛庁から入手し、直ちに巡視船・航空機を急行させ同船を捕捉すべく追尾を開始した。
同船は巡視船・航空機による度重なる停船命令を無視し、ジグザグ航行をするなどして逃走を続けたため、警告射撃の後、20ミリ機関砲による上空・海面への威嚇射撃および威嚇のための船体射撃を行った。
しかしながら、同船は引き続き逃走し、巡視船に対し自動小銃、ロケットランチャーによる攻撃を行ったため、巡視船による正当防衛射撃を実施し、その後同船は自爆用爆発物によるものと思われる爆発を起こして沈没した。
その際、巡視船「あまみ」乗船の海上保安官3人が約7~10日間の加療を要する傷害を負った。
(3)筆者のコメント
2001年の海上保安庁法の武器使用基準の改正は、わが国の武器使用基準の歴史的転換点であったと筆者は見ている。
繰り返しになるが、この改正では、「海上保安官等が(領海において)停船させる目的で行う射撃について、人に危害を与えたとしても違法性が阻却されるよう、明定された(出典:海上保安レポート2002)」。
この改正により、わが国でも平時において領海主権を擁護するための武器の使用が容認されたのである。
1983年9月1日、ニューヨーク発ソウル行きの大韓航空機007便がソ連の領空を侵犯し、宗谷海峡上空でソ連空軍戦闘機に撃墜される事案が発生した。
機体は宗谷海峡付近に墜落し、日本人28人を含む乗客乗員269人は全員死亡した。この事例を国際法の観点から見れば、国家主権が侵され自衛権が発動されたのである。
国家主権とは「国家が領域内(領土、領海、領空)においてもつ排他的支配権」である。
世界の常識では、外国の国家主権を侵犯した航空機・船舶等が撃墜・撃破されても止むを得ないというものである。これが国際社会の現実である。
2.武器使用基準改正の必要性と改正案
日本海で操業していた日本漁船が北朝鮮海軍の旗を掲げたボートの乗組員に小銃を向けられた(2019年8月)、北方領土の歯舞群島の海域で操業中の日本漁船がロシア国境警備軍(日本ではロシア国境警備隊と呼ばれることが多い)の警備艇により銃撃され乗組員1人が死亡した(2006年8月)など世界の領域警備における武器使用基準は日本のそれとは大きく異なっている。
自衛隊の「武力の行使」や「武器の使用」への抑制的な姿勢は日本の特徴である。
例えば、自衛隊の実力行使を「武力行使」と「武器使用」とに区別する国は、日本だけである。
防衛出動下令前は「武器の使用」であり、防衛出動下令後は「武力の行使」となる。
国連や諸外国では、武器使用も武力行使も同じ『use of force』であり、その根拠を国際法や国連が認める基準に置いている。
国連武器使用規則では、武器使用の要件は「要員の生命などを防護する場合(A型)」と「任務の遂行を実力で妨害する企てに対する抵抗の場合(B型)」の2つに大別される。
以上のように、自衛隊の武器使用基準が抑制的であるため、自衛隊の活動範囲が拡大するに伴い、武器使用基準が対処療法的に改正されてきたことは、前項で紹介したとおりである。
さて、尖閣諸島の領海侵犯など実行支配を目指す中国への対応が喫緊な課題である今、武器使用基準を改正しておかなければ、現場で隊員が行動の制約を受けたり、生命や身体の危険にさらされたりする状況が生起し、中国の侵略的行為を阻止することができないかもしれない。
武器使用基準の改正の方法であるが、その方法には以下の3つが考えられる。
一つ目は、「領域警備法」を整備し、同法で「領域警備行動」を新設し、そして、領域警備行動で出動した場合の武器使用基準を設ける。
二つ目は、「領域警備法」を整備し、「領域警備行動」による出動の都度、いわゆる部隊行動基準(注3)で、武器使用基準を規定する。
三つ目は、自衛隊法に「領域警備行動」を新設し、出動の都度、いわゆる部隊行動基準 で、武器使用基準を規定する。
そして、武器使用基準の改正案であるが、領域警備行動により出動を命じられた自衛隊の任務は領域(領土・領海・領空)主権の擁護である。
従って領域に侵入しようとするものに対しては警告射撃を、領域に侵入したものに対しては、危害射撃を可能とする武器使用基準とする。
現場の混乱を回避するために武器使用基準は簡明であるべきである。
ただし、武器使用基準の策定に際しては戦時国際法の専門家の助言を得ることは言うまでもない。
ところで、60年安保騒動のような自国民を対象とした過去の治安出動と外国の武装工作員を対象とした現在の治安出動では武器使用基準が異なることは自明である。
それなのに、わが国は、武器使用基準の改正に本格的に取り組んでこなかった。
「ガラパゴス化」から早急に脱出しなければ、わが国の領域主権を擁護することはできないであろう。
(注3)部隊行動基準は、法令などの範囲内で、部隊などがとり得る具体的な対処行動の限度を政策的判断に基づき示すことにより、部隊などによる法令などの遵守を確保するとともに、的確な任務遂行に資することを目的としている(出典:防衛白書)。
おわりに
「日本が体制を強化すると、それを口実に中国が強硬姿勢を強めるので、体制を強化すべきでない」との意見も聞かれる。これは、中国への宥和政策に通じる。
宥和政策とは、一般的には、相手国に対してきわめて妥協的な政策をもって対応する政策をいう。
1930年代の英国首相のチェンバレンの対独宥和政策の失敗はよく知られているところである。
このような過去の教訓を踏まえるならば、日本は宥和政策に流れることなく、中国のように不法行動や侵略的行為をあからさまにする国に対しては、武力衝突も辞さないという強い覚悟をもって、対処すべきである。
されど、筆者はむやみに事態をエスカレートさせようと言っているのではない。
まずは米国をはじめとする国際社会と連携し、中国の不法な行動と傲慢な態度を抑え込む外交努力が必要であることは言うまでもない。
横山 恭三のプロフィール
kyozou
Yokoyama 元空将補、1970年防衛大学校卒業・航空自衛隊入隊、要撃管制官を経てフランス軍統合大学留学、在ベルギー防衛駐在官、情報本部情報官、作戦情報隊司令などを務め2003年航空自衛隊を退職。現在(一財)ディフェンス リサーチ センター研究委員。
加藤勝信官房長官は19日午前の記者会見で、沖縄県石垣市が尖閣諸島の字(あざ)名を変更したことをめぐり、中國から抗議を受けたことを明らかにした。「尖閣諸島の字名の変更に際し、中國側から外交ルートで中國の独自の主張に基づく申し入れが行われた」と述べた。
まさかその時に御免なさいなんて言って居ないでしょうね?
石垣市によると、昨年10月に尖閣諸島の字名を「登野城」から「登野城尖閣」に変更する際、在福岡中国総領事館の担当者から度々、抗議を受けていた。中国からの抗議は、同市が字名変更の検討を始めた平成29年ごろから始まったという。
一方、加藤氏は18日の菅義偉(すが・よしひで)首相の施政方針演説で、日中両国の懸案として尖閣諸島などの具体例を示さなかった理由について「尖閣諸島を含めて『懸案がある』と示し、中国側に具体的な行動を強く求めていくと(演説で)申し上げた」と述べ、明言を避けた。18日の施政方針演説では、日中間の懸案に関し「両国にはさまざまな懸案が存在する」と触れるにとどめた。
石垣市中山義隆市長の行動で昨年の10月1日から変更されて標柱を設置する為に政府にお伺いしているがその後のバックアップ対策が見えません!
尖閣諸島問題も勿論中國がチョッカイを出していますが、次の記事で日本の南鳥島で7年後の商業化を中國がチョロチョロと動いていたので「レアメタル」を狙って中國の動きにも注意して於かないと不味(まず)いぞ!
今迄は、ほぼ全量を輸入に頼っていた日本も「コバルトを輸入に頼っており、武装勢力の対立が続くコンゴ民主共和国が世界の生産量(年間約12万トン)の半分を占めるなど、安定的な確保が課題と言うのを中國が黙って見ている訳がない。
日本が米国で今回就任する「バイデン大統領」に菅義偉首相が昨年12月19日、東京都内での講演で、米国のバイデン次期大統領と電話会談した際、沖縄県・尖閣諸島が対日防衛義務を定めた日米安全保障条約第5条の適用対象になると同氏が明言したことを喜んで当てにして居る様だが、トンデモナイことだ!
「俺っち」も事ある毎に自分の廻りでウロチョロされては「俺っち」も力(ちから)ずくで牙を剥くぜ!
自国の海域は自国で守る気概が無ければ、間違いなく初動で躓くこと間違いない。
しかも「父つぁん」が心配している島嶼諸島での中國の海軍では無い海警局の艦船に対して何のための対応か判らないが相互主義?で対応するのが海上保安艦船であって、その海警局艦艇の法を「海警法」を弄くって武器使用を行って撃沈?する事も可能にしている。武器を持たない漁船に対しても言う事を聞かなければ同じ様に対応させる。日本の海上保安庁の艦船は水鉄砲で撃退できるとでも思っているのか?海上自衛隊の艦艇は武器を使うことが出来るとでも思っているのか?中國に対応できる様に法改正を行っても守る意思を明確に政府は対応しなさいよ。
世界の懸念行動で中國の「覇権」を問題視していない事が不思議でいるが世界各国の首脳が参加したビデオ会議で、国際問題における「覇権」に中國は反対するとあらためて表明しているが、覇権という言葉は、中國が米国の行動を表現するために用いることが多い。何を勘違いしているだ!覇権国家は中國だろう。
0 件のコメント:
コメントを投稿